2004年2月14日 山口大学東亜研究所
第三回 戦前期文献保存ワークショップ
参加メモ
山口大学東亜研究所にて、第三回の「資料ワークショップ」が開催された。山口大学東亜研究所は、山口高商を前身としている。山口高等商業は、1905年に東京(現在の一橋)、神戸に続いて設立された。中国語図書、中国関係和書・洋書を中心に見たが、20世紀初頭からの蔵書があり、1930年代から40年代を中心とする滋賀大学経済経営研究所などとの差異が際立っていた。
東亜研究所の大庭平四郎氏の案内で、総合図書館および東亜経済研究所にある旧高等商業蔵書を閲覧した。
○総合図書館(001−008門)
→博覧会関係(特に勧業博覧会)、特許関係、中小企業関係豊富。
○東亜経済研究所(009門、また1−8門のうちの外地関係および洋書類)
→1−8門のうちの外地関係、洋書類は別置
特に目を引いたのは以下の数点である。
(1) 『日清語辞典』(全9巻、924/040、井上翠による辞典の草稿、手書き。書き込みあり)
(2) 時文評釈類(20―30冊)
(3) 整った洋書コレクション(中国関係の基本書がそろっている)
(4) 中国各政府の『政府公報』類。現物が極めて多い。北京政府期もある。
極めて珍しいのが、王克敏らのいた華北政権の『政府公報』である(1939−1940)。
また、北京政府の『農商公報』(民国4年〜)や、孫文の中華民国臨時政府の法令を集めた『中華民国臨時政府新令(題名不詳)』(1−60)は、初期南京政府の史料として重要。
(5) 中国語新聞
とくに『新聞報』の現物は重要だろう。
(6)そのほか
『修改税則始末記』(1919年)
(民国8年の税制改革に関する文書)
『清国ニオケル利権回収熱ニ基ク各種企業並保護政策調査報告』(1.2号、764/302)
(中国における利権回収について、曾紀澤や李鴻章、あるいは鉱山利権回収などを詳細に記したもの)
『山東における排日運動状況』(1919年、相当詳細な排日調査資料、外務省作成)
『漢口日本商工会議所月報』(1920−30年代)
『華北交通』(華北交通関係者へのニュースレター)
ここについても、外交関係の史料があり、興味深い。
ワークショップそれ自体については、高等商業を全身とする各研究所などがそれぞれ、法人化
評価の問題、学内利用度、産学連携、地域密着などという問題や、組織として奨励化できているかなどといった環境的な問題を抱えていることなどについて、情報交換された。また、これまで同様、蔵書の所蔵状況や沿革などについても、種々様々な話が提起された。図書館関係者と研究者間の連携といった論点、保存の困難さという課題という、従来からあるポイントも議論された。
それぞれの報告題名は以下のとおりである。
1. 大庭平四郎(山口大学東亜研究所)「旧高等商業学校の旧植民地関係資料」
2. 鈴木房子(福島大学地域創造センター)「福島大学の所蔵資料について」
3. 川島真(北海道大学)「東アジアの日本語資料調査(2003年)」
4. 城山智子(一橋大学)「一橋大学所蔵アジア関係資料について」
5. 木村健二(下関市立大学)「韓国・政府記録保存所の所蔵文書について」
6. 井村哲郎(新潟大学)「日本貿易振興会アジア経済研究所所蔵旧外地関係コレクション」
7. 金丸裕一(立命館アジア太平洋大学)「山口大学東亜研究所 長江産業貿易開発協会についてのメモ」
8. 安部安成(滋賀大学)「2003年度の滋賀大学経済経営研究所」
9. 江竜美子(滋賀大学)「滋賀大学経済経営研究所が新たに受け入れた『石田記念文庫』について」
10. 坂本悠一(九州国際大学)「雑誌『釜山』について」
山口大学ワークショップ 14/FEB/04
東アジアの日本語資史料
川島 真shin@juris.hokudai.ac.jp
1.調査報告
(1)2003年3月 台湾台中市 中興大学図書館
台北帝国大学農林専門部蔵書
1999年9月21日の震災以後の状況調査
【参考文献】 佐藤正広「南の国の『遺された蔵書』−中興大学図書館所蔵・旧台北帝国大学資料―」(『国立中興大学所蔵
旧台北帝国大学資料調査報告』 (bibliographic series) 解題,一橋大学経済研究所中核的拠点形成プロジェクト、1997年7月)
佐藤正広「国立中興大学所蔵 日本領有期農学・林学関係卒業報文」(『国立中興大学所蔵旧台北帝国大学資料調査報告II』 (bibliographic series) 解題, 一橋大学経済研究所中核的拠点形成プロジェクト、2000年2月)
(2)2004年1月 鹿児島大学総合図書館
鹿児島高等農林学校蔵書調査
★台湾関係雑誌豊富
『台法月報』大正元年から昭和13年、台中州農事試験場『業務年報』昭和9、12-17年、『台北農林学会報』昭和11年から18年、『台北州農事試験場 農事試験年報』昭和4-19年、『台南農事試験年報』昭和2-4年、『台南州立農事試験年報』昭和13-17年、『台湾貿易月表』『台湾人口動態統計』『台湾農事報』、『台湾の水利』『台湾山岳』『台湾青年』、『台湾農業試験所彙報』、『台湾農事試験場特別報告』、『台湾糖業統計』、『臨時台湾糖務局年報』、『台湾総督府民政局殖産報文』、『台湾中央研究所林業部報告』、『台湾総督府学事年報』、『台湾総督府専売局事業報』
(3)そのほか
@2003年11月 北京日本学研究センター「中国における日本学 学習・研究・情報リソース」プロジェクトの進捗状況調査
A2003年12月 「第4回海外所蔵日本資料データベース会議」(九州大学)パネル参加
2.東アジア各地の日本語史資料
@東アジア全体での蔵書状況理解、蔵書の位置づけ
A必要ならば技術協力、ただし現地のコンテキストにそくするなどの工夫
B東アジアの研究者の日本史料への注目
3.公刊物
「東アジアの日本語史資料へのアプローチ−東アジア近代史学会第七回研究大会歴史史料セッション「東アジアにおける日本史関係資料に対する研究インプラの現状と課題」に参加して ―」(『東アジア近代史』6号、2003年3月、P.44-51)
「滋賀大学附属図書館所蔵中国語図書の概要」(『彦根論叢』、 第344・345号、特集「彦根高等商業学校収集資料のポリティクス」、2003年11月)
「東アジアの日本語史資料へのアプローチ再論」(仮題)(『歴史評論』より依頼、近日中に提出)