31.Jan.2004
於 高等法政教育研究センター会議室
(北海道大学法学部3階 315室)
学術創成研究プロジェクト 公開シンポジウム
朱天飚(ジュ・テンビョウ Zhu Tianbiao)
(中国・北京大学政府管理学院 政治経済学科長)
コメンテイター:川島 真(北海道大学法学部助教授)
コーディネーター:ベン・ミドルトン(北海道大学大学院法学研究科講師)
2004年1月31日、北海道大学において、公開シンポジウム「現代中国の経済開化 ―国家の役割を問う―」が北京大学の朱天飚教授を招いて行なわれた。本報告では、従来全面的な政府の関与の下で、国内の論理だけで動く閉じられた経済であったものが、1979年の改革開放以後は、民営化、個別化と脱中央集権化が進行したとする。しかしながら、地方レベルでの経済関与の強化により、中央の力が弱まって中国全体のマクロ経済への統制ができず、経済混乱を引き起こしたという状況があり、それに対して近年では銀行統制や税制改革等により中央の関与能力を高めるという動きがあった。また、従来の保護貿易から開放により産業の再編・調整を行なって、政府が特定の産業をより強化するという動きも見られた。結論として、グローバル化と共に国家の関与はある程度減少したが、中央・地方政府はグローバル経済との結合により新たな関与の役割を得ており、現在の中国はもはや中央集権計画経済国家ではないが、新自由主義国家でもないとされた。また、中国はいわゆる発展途上国であるのかという問題については、60〜70年代の台湾における経済政策との関連性、国家の大きさと中央―地方関係の問題、汚職の問題、国際環境と中国との関係などが今後の検討課題となるであろうと述べられた。
それに対して、コメンテイターの川島先生から、「なぜ」「どのように」そうなったのか、特に共産党との関係、79年前後の時代におけるより複雑な変化をどうとらえるか、天安門事件の意味、統計資料の処理、中央―地方関係、特に「諸侯経済」の問題、台湾について党営企業の問題、米援の意味、中央・地方の定義づけなどについて問題提起がなされた。
(北大法学研究科博士課程 柳亮輔 記)