2008年度前期国際関係史レポート講評
(学部1−4年)
1.総論
問題をしっかりと読んで、授業ノートを見返しながらテキストの内容を加味している答案には40点を与え、そこに自分なりの見解があったり、丁寧にまとめられたものには+点を与えた。明らかにテキストだけでまとめたものは、35点程度を目安にした。総じて、学部前期課程の学生たちはよく書けていたように思う。後期課程学生の答案は、授業が終わってから長く時間がたっていたためか、ピントがずれているものが目立った。残念であったのは、「改行しない」といったような指定したルールを守らない答案がきわめて多かったことである。もしかしたたら、暫定版が出回り、あとで配布した確定版を見ず、また更新されたウェブ上での内容を確認しなかったためであろうが、注意してほしい。そして、もっとも厳しく接すると述べた「剽窃」について、ふたつの酷似した答案、また内容の大半をウェブ上のページからコピペしたものがあった。これらはやむを得ず不可とした。成績については、学部前期学生については35%以上の優を出した。学部後期学生については4割以上の優を出した。
2.各論
回答の多かった問題について簡単に触れておきたい。
◆第一部第二章(1)
この問題では、不平等条約や改正方法について大別した上で、日本が文明国としての諸制度を実現しながら外交交渉していく過程を、司法権と行政権との関連性(司法権→行政権→司法・行政権)として描き、その上でその交渉過程が日本の中国観などにも関わったことを指摘する。
◆第一部第三章(2)
日露戦争前後の変化を述べるのだから、何がどのように変ったのかということを明示しない答案は評価しづらい。日本の位置づけ+朝鮮半島情勢+満洲問題+協商体制とともに、日中関係の変容なども指摘できるといいだろう。
◆第二部第四章(3)
この問題では、「何から」突出するのかを明示する。
◆第二部第五章(2)
この問題はテキストだけで回答した答案が多く、辟易した。実はテキストには修約外交の定義がなされておらず、また革命外交についても「実力行使云々」という定義としては不明瞭な内容が記されている。それだけに内容を授業で補ったはずである。その内容がきちんとでないと40点は出せなかった。
◆第二部第六章(2)
この問題では、連続説と断絶説の双方の、タンクー停戦協定それじたいに対する位置づけの相違についても触れてほしかった。
◆第二部第七章(3)
この問題も出題意図に対する誤解が多かった。戦争がどのような結果を東アジアにもたらしたのかという問題なのだから、戦争の経緯を書いても意味がない。1931年から45年の間の事象を書くにしても戦時動員体制などが社会に与えた影響、物質的人的被害の問題、そして戦後復興、分断国家、脱植民地化、歴史認識問題、賠償、記憶の問題など数多くのことが記せるはずである。
◆第三部第九章(3)
もっとも回答しやすい問題のはずなのだが、1949年10月1日の中華人民共和国の成立によってアメリカの対日政策が変化したと記した答案が多く驚いた。確かに無関係ではないが、アメリカの対日政策の変容はそれ以前から見られているし、1950年の朝鮮戦争の勃発も日本の位置づけに大きな影響を与えた。
(以上)