2004年度アジア政治論第一回質問・回答
川島 真(shin@juris.hokudai.ac.jp)
【講義への希望】
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OHPを使うときは後ろの席でも見やすいようにお願いします。(学部三年) |
→精一杯努力しますが、技術的な限界がある場合にはご容赦ください。また、今回の場合は、プリントで配ったものと同じですから、内容的には問題なかったかと思います。
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(1)この講義が中国を中心に進むというのはわかったのですが、東南アジアやインド等の諸国にはあまり立ち寄らないのでしょうか。 (学部三年) (2)私のイメージでは「アジア」は欧州でも、アメリカでも、アフリカでもない「地域」です。そうだとすると中東から極東まで幅広くなり、とてもこの「アジア政治論講義A」の中ではとりあつかえないと思われるのですが、「だから」先生の専門とされる中国外交等に絞った講義をおこなわれるのでしょうか。つまり、インドや東南アジア、中東地域は「アジア政治」から切り捨てられてしまったのでしょうか。 (修士一年) |
→法学部では、アジア政治論(中国・台湾)+アジア政治史(それ以外の地域)という原則で授業を展開しています。今年のアジア政治史は、集中講義で「韓国」を扱いことになります。私が着任してから、トルコ→インド→インドネシア/中国(川島海外研修のため)→台湾→タイ→韓国という順番でいらしていただいています。ただ、このアジア政治論の講義でもまったく他地域に触れないわけではありません。随時参照したり、ゲストを招いたりしてみたいと思います。特にイスラムに関心が高い方が多いと思いますので。「アジア」それじたいの問題は、また講義で触れます。
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世界から見た中国の立場についても知りたい。(学部三年) |
→そのとおりですね。 グローバル化の時代の中国にも配慮していきます。
【講義内容】
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中国が「嫌い」というのは? (修士課程) |
→誤解を招いたかもしれません。「好き」だと研究できないという話、また研究するには「好き」「嫌い」という感情の絶対値が小さくすることが必要、という話の中で語りました。そして、中国の事を研究するのだから中国のことは好きなのだろうと誤解されるが、そうではないというコンテキストでお話したと思います。私は、「中国」に強い関心を寄せています。そして授業でお話したように一生はなれることのできない、常に周囲に「ある」存在だと考えています。しかし、「好き」だから一緒にいるというのでも必ずしもありません。それからもうひとつ、だいたい留学経験者は行く前にはその地域が「好き」で、行くと幻想が打ち砕かれて「嫌い」になり、やがて段々と冷静に客観的に接する事ができるようになって、「好き嫌い」ではなくなるという過程があります。
<ODA関係>
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ODAの援助を申請することで、中国は(一般的に国は)どのくらいの利益を得ているのですか?また熱望しているのですか? (学部三年) |
→政府間の借款や申請者が政府自身で無い限り、基本的に相手国政府が直接「儲かる」ということはありません。ただ、たとえば道路建設や学校建設など、その政府からの支出でおこなうべきことを、ODAでまかなうということはあります。そうした意味で、相手国政府が財政難の場合には効果がありますし、期待もされます。しかし、相手国が想定している予算規模と、ODAの予算規模はずいぶんと異なります。特に無償資金協力の場合、請け負った日本企業は立派なものを作ろうとしますから。そうした意味で、10億円で学校を作っても、それが相手の期待にそったものであるかは別問題です。また建設後のメンテナンスは現地の責任なので、立派なものを作られるほど、現地側の負担が大きくなるという事情もあります。また、請け負った日本企業が現地の産品や労働力をどの程度使用するかによって現地におちる金銭には格差が生まれてきます。どのくらい熱望しているかは測定の使用がありませんが、だいたい日系企業などが仲介してニーズを発掘するケースが多いですね。そうした場合、書類上は現地が「要請」したことになりますが、実際はそうでもないということになります。
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昨年、新聞の論調が「中国に富をとられる」から「中国のおかげで好景気」というように変化したとありましたが、それと同時に「対中ODAをやめるべき」という論調がでてきたというのはどういうことでしょうか。矛盾している感じがするのですが、新聞によって違うということでしょうか。(学部三年) |
→説明不足でした。実は、これは矛盾しません。中国のおかげで好景気とは言っても、だから中国に援助する必要がある、とはならないのです。中国は一本立ちできて、こんなに経済成長している、ではどうして援助などするする必要があるのか、ということになるのです。
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ODAが現地国にとってメリットになるのは、建造物が残るだけなのでしょうか。それだけなら、なぜ中国がODAを受けるのかがわかりません。他国に貸す余裕があるなら、ODAでお金を借りずに自国で使えばいいのではないでしょうか。 (学部三年) |
→なるほど。確かにそうかもしれませんね。中国が本当にODAをほしがっているかどうかも、実際には疑わしく、時には外国が実績作りのためにお願いしてODAを受けてもらっている側面もなきにしもあらずです。しかし、やはり中国も国家として単なる経済効率だけでは動きません。経常予算の枠内では到底できないことを、ODAの枠の中で実現させ、また他方で援助を国外におこなって国際的な地位を高め、相手国と関係を深める(と同時に余剰労働力を送り出す)ということもあります。すなわち、他国に貸すのは「余裕」ではなくて、必要な予算なわけです。これは日本も同じです。
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中国等の技術者を日本に呼び、無償で日本の技術を教えるようなことを日本政府が斡旋していたというような話を聞いたことがあるのですが、それはどのような類のものにあたるのでしょうか。それもODAでしょうか。(学部4年) |
→これも基本的にODAです。ただ、無償枠でおこなわれているものもあれば、ODA予算を通産省系の外郭団体などが利用して、海外の技術者を招聘して研修をおこなうケースなどがあります。最近では、「人づくり」がODAの柱にすえられて、教育面が重視されているので、こういったケースは多く見られますが、大きな問題は、(1)外国と日本の技術格差が昔ほどはなくなってきているので、学ぶといってもほとんど学ぶことがない、(2)本当に学びたい先端部分は日本企業が技術漏洩を恐れて出したがらない、(3)日本の企業の技術者は先端的なことから入るよりも、基礎から入ることを好むので、短期研修の指導員に向かない、などの問題を抱えています。無償は、建物などインフラだけでなく、人材育成にも経費を振り分けています。
<「支那」>
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「支那」という言葉はいつごろから中国の国名を表す単語から中国を軽視する言葉に変わっていったのですか。どのような背景がありますか。(留学生・研究生) |
→ 「支那」という言葉があるから蔑視したわけでも、蔑視したから「支那」という言葉を使ったわけでもないということはご理解いただけると思います。対中国蔑視と呼称としての支那が重なり、日本人が「支那」を使用すると蔑視しているということになったのです。時期的な問題ですが、江戸時代から日本が自立する過程で中国を「突き放そう」とする傾向は見られていました。その後、日本が「文明国化」しようとする過程で、「清国」を何とか「非文明国」としようとする傾向があり、それが日清戦争、義和団戦争によって、蔑視傾向が強くなり、日露戦争の勝利でほぼ決定付けられたと言えるでしょう。日露戦争は、日本が自信を深めるのに決定的な役割を果たしました。
<そのほか>
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脱植民地化によって引き起こされた紛争は、冷戦構造の中で起こったものであり、第二次大戦、太平洋戦争と切り離して考えるべきだと思います。 (学部三年) |
→そうですね。切り離して考えられる側面もあります。しかし、第二次大戦は冷戦構造を準備しましたし、2次大戦末期はまさに冷戦構造の始まりでもあったわけです。ですから、20世紀史的な視点で見れば、1910年代の第一次大戦が19世紀と20世紀の別をもたらし、東アジアにとっては、1930年代から70年代の長い戦争期間のうち、前半が日本の侵略の問題、後半が冷戦構造と脱植民地化の問題ということになります。日本は前半は一方の「当事者」でしたが、後半は冷戦構造の中で動いたことになります。ただ、事態はそれほど単純ではなく、同じ自由主義陣営とは言っても相当の多層性、多様性があったということには留意しなくてはいけません。例えば、冷戦下でも日台、日韓の間には情報交換、人的・物的交流にも相当な制限が加えられていました。
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それぞれの国々が、あるひとつの現象についてどのような経緯・観点・立場にたってそのひとつの現象を認識するかによって、それぞれの国内の人々のその現象に対する認識が異なってくるということなのでしょうか。 (学部二年) |
→まったくそのとおりです。「国」で無くても、地域、属している集団、個人によって様々な見え方をしますし、それを操作して何かしらの論調にもっていかせようとする集団、個人もいます。そういった中で、「事実」とはそもそも何であるか、またある事象についてどれだけ自分で総体的、相対的な情報収集と判断ができるかということが、これから問われてきます。
<靖国関係>
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プリントに記事を貼り付けながら取り上げなかったので、靖国関係の質問が数多く寄せられました。
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(1)
僕自身、靖国問題のひとつはA級戦犯合祀であると思っています。中国のかたがたはA級戦犯が分祀されていても、首相の靖国参拝に反対なのでしょうか。 (学部三年) (2)
靖国問題についての小泉首相の発言をどう思いますか。 (学部三年) (3) 靖国について語ってみてください。 (学部三年) (4)靖国の方の記事が気になった。 (学部三年) |
→私は、この問題それじたいについて、外国からの要請で取りやめるとか、とりやめないとかいうことを判断する種類の問題ではないと思っています。ただ、相手が嫌がっていることをする場合、それをするからには主義主張を明確にし、それを説明し、時には説得することも必要と思います。そうした意味では、先日の川口外相の訪中、そのときの説明というのは、それはそれとして筋が通っていると思います。また、中国が首相の靖国参拝を問題にしたのは、最近のことです。『読売新聞』の社説にあるように、中国は「靖国」を外交カード化してくるでしょう。教科書・靖国・戦後補償は、日本の戦争責任を問うためのシンボル的存在です。そうした意味では、A級合祀か否かという問題は、全体構造にはさして大きな問題にはならないものと思います。このほか、日本国内での違憲・合憲論争については、あくまでも被告側の勝利なので先日の「違憲」判断が確定することになりますが、これは特に首相の行動を拘束するものにはならないと思われます。つきつめれば私人としての参拝は認められるでしょうけれども、公用車の使用、公設秘書の同行といったところは控えなければならないかもしれません。また、たとえ私人であっても、首相が参拝すれば内外からの反応は大きなものがありますが、それもまた上記のようにきっちり説明しなければならないでしょう。
<時事全般>
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(1)
近頃の日本の右傾化は本当に懸念しているところですが、靖国や尖閣など、中国国内での報道が気になります。昨年の西安寸劇事件の時に、日本人学生の負傷や、謝罪、無関係者への襲撃についての報道が足りなかったという話を聞いています。日本の報道の偏りと同様、対岸の傾向もまた気になります。 (学部三年) (2)マスメディアいにる情報操作の問題を指摘されていましたが、ではどうして授業で取り上げていたような新聞社はこのような記事を載せるのでしょうか(一部加筆) (学部三年) |
→ご指摘、まったく同感です。日中それぞれのメディアでの報道内容が偏ることで、歩み寄りの可能性はいっそう小さくなっていきます。報道が足りなかったかどうか、それは難しいところですが、「悪いところ」「よくないこと」など、事件性の高いものばかり報道していては結局ネガティブな印象ばかりもつことになりますね。中国の報道を知るひとつの近道ですとして、人民日報日本語版があります。http://www.people.ne.jp/
こういう報道の是非を論じる前に、どうしてそういう報道がなされるかという問題があります。共産党の機関紙である人民日報ならいざ知らず、表現の自由が認められている日本でどうしてこのようになるのかということについては、重要なのは、やはり読者の反応ですね。日本の新聞は読者の反応とともに動いているところがあり、一度ある方向に揺れると相乗効果を起こして、ある方向に向かいだします。発行部数を伸ばしているのはそういう新聞ですね。逆に、世の中を動かしてやろうというような、やや啓蒙気質の新聞は、ここ数年歓迎されなくなってきています。また、いわゆる月刊の総合雑誌も、数誌の論調がほぼ一元化するという減少を生んでいます。それに対し、中国での言論界はむしろ多様化に向かっていて、日本とは逆になっています。だから、共産党自身ももはや統制困難です。
日本の新聞が日中関係だけのために動いていれば、確かに問題のある記事でも、国内のコンテキスト、また読者の反応などを考慮すれば適切と思える記事もあるのかもしれません。ここが第四の権力としてのメディアの抱えている強さでもあり、問題点でもあると思います。
<尖閣問題>
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(1)最近テレビによくでている尖閣諸島・魚釣島についてどう思いますか? (学部三年) (2)中国が尖閣諸島の領有を主張する根拠は何なのですか。以前あの島に住んでいたことがあったりするのですか。当然のことであるとは思いますが、日本のテレビなどでは日本の根拠しか紹介しません。教えてください。 (学部三年) |
→この問題は、どのようになれば「解決」なのでしょう?日本にとっては、中国や周辺諸国が日本領と認めれば「解決」でしょうか。ここが日本領であることを証明するものは何でしょうか。実効支配、歴史的経緯といったことでしょうか。中国側の根拠は、当然のことながら中国の歴史書にあるということ、また同所が台湾の一部であるという主張です。日本側としては、台湾の附属島嶼であるということはないとした上で、沖縄が米軍の占領下にあった時期に、台湾側も中国側もそれに異論を唱えていないこと、地下資源の可能性が出てから領有を主張し始めたということに因ります。他方、中国側は、東シナ海の漁業権問題が交渉の土台に乗り始めてから、「大陸棚論」を主張し、尖閣列島と沖縄諸島(南西諸島)の間に小さな海溝があることから、尖閣は中国から繋がる大陸棚の上にあり、沖縄と同じラインにあるわけではないという議論を提示するにいたっています。ちなみに、日本人は同所に住んだことがあり、工場などを造ったことがありますが、中国人には(近代以降)そうした行為はなかったと思われます。同島は、現在でも個人所有です。
<台湾関連>
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日本は台湾を政府承認していないとおっしゃいましたが、国家としてはどういう存在とみなしているかが少しよくわかりません。 (学部三年) |
→1978年9月29日、北京で日本国内閣総理大臣田中角栄と外務大臣・大平正芳、中華人民共和国国務院総理・周恩来、外交部長・姫鵬飛との間で調印された「日中共同声明」の1−3項を見てください。1.日本国と中華人民共和国との間のこれまでの不正常な状態は、この共同声明が発出される日に終了する。 2.日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。3.中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基く立場を堅持するポツダム宣言第八項というのは、「「カイロ宣言」ノ條項ハ履行セラルベク又日本國ノ主權ハ本州、北海道、九州及四國竝ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ」とあり、そのカイロ宣言(1943年11月27日、中華民国、アメリカ、イギリス)では、日本國ヨリ千九百十四年ノ第一次世界戰爭ノ開始以後ニ於テ日本國カ奪取シ又ハ占領シタル太平洋ニ於ケル一切ノ島嶼ヲ剥奪スルコト並ニ滿洲、臺灣及澎湖島ノ如キ日本國カ清國人ヨリ盗取シタル一切ノ地域ヲ中華民國ニ返還スルコトニ在リ
日本國ハ又暴力及貪慾ニ依リ日本國ノ略取シタル他ノ一切ノ地域ヨリ驅逐セラルヘシ」とあります。これが大原則です。1972年の国交断絶以降、日本と台湾がどのようになっていくか、台湾自身がどのような国家かにつては授業で触れていきます。
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台湾の選挙のことがニュースを見ていてもよくわからないので教えてください。(学部三年) |
→この問題は陳総統自身も「分かっている」わけではないと思います。ただ、決定的に重要なのは、日本のメディアが報じているような「中国との統一・独立問題」が焦点というわけではないということです。中国との統一はほとんどありえず、台湾の独立もほとんど不可能、この状態におけるアイデンティティ問題、また台湾自身の幸福論的問題です。中国とどのような関係をつくることがいいのかということ、次の2008年の総統は誰になるのかということ、経済問題はじめとして台湾が安定的に発展していくためには誰が指導者になればいいのかということがポイントになります。他方、総統府前でデモをしていた国民党・親民党については、本当のところで選挙に反発しているというわけではなく、12月の立法院選挙をめぐる主導権、また640万票の獲得合戦と見るべきでしょう。→川島のホームページに情報があります。
<戦争責任関係>
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(1)国家「むとうせき」がよくわかりません。 (学部三年) (2)新潟地裁における国家無答責クリア判決について教えてください。 (学部3年) |
→国家賠償と国家無答責については法律の本を読みましょう。
国家無答責は、これまで判決でもクリアされたものがありましたが、今回よりいっそう画期的であったのは、国家無答責と除斥期間をクリアした上で、安全配慮義務違反に基づく請求をおこなったということです。すなわち、強制連行ですから、「新潟港運と原告らの間には何らの契約関係もなかったが、中国人労働者の移入・使用については日本港運業会との間に使用契約とでもいうべき契約が締結されていた」ということにして突破したわけです。(鈴木賢先生に電話でいろいろうかがいました。多謝)
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ドイツは戦後の問題をうまく解決しましたが、日本はまだまだいろいろな問題を残しています。その原因はドイツ人と日本人の国民性の違いですか(ドイツ人の罪意識、日本人の恥意識)?アジアの冷戦構造とヨーロッパの冷戦構造の違いでしょうか?或いは日本外交の失策か?先生はどのように思っていますか? (留学生・研究生) |
→いい質問だと思います。金子勝・高橋哲哉・山口二郎 『グローバリゼーションと戦争責任』 (岩波ブックレット、530、2001年)、奥田安弘・川島真他『共同研究 中国戦後補償―歴史・法・裁判』)(明石書店、2000年)、奥田安弘・山口二郎編『グローバル化する戦後補償裁判』(信山社、2002年)
などは読まれましたか?基本的には冷戦構造の問題が大きいと思います。アメリカがサンフランシスコ講和会議前に各国に対して賠償放棄を働きかけたことはとても重要です。そのため、各国は国家賠償の道を絶たれました。第二に、政治判断の問題もあります。たとえば、東南アジアについては、国家賠償はすべて終わっていたのだけれども、1960年代になって様々な「戦後補償」をおこない、それによって東南アジア市場をイギリスから奪っていったという経緯があります。そのときは、国家賠償ではなく、戦後補償のかわりに「援助」をおこなうという論理で様々な補償をしていきました(マレーシアの場合には「準賠償」という語を使用)。しかし、台湾(中華民国)に対しては日華条約で賠償を放棄させ、逆に台湾側は「以徳報恩」というスローガンを持ち出したために、東南アジアのようなかたちでの決着がいっそう難しくなった。この経緯のあとに、中華人民共和国と日本が国交を「正常化」するわけです。ここで戦後補償について決着をつけるべきであったという向きもありますが、日華条約の効力を認めさせようとした日本にとっては、それは難しかったと思います。
【講義内容から離れて】
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中国の色々なことに興味があり、留学生と交流しています。その中には、自分で働いて稼いだお金をすべて費やして日本に来た人と、親にお金を出してもらって特に苦労せず着ている人がいます。中国での貧富の差とは、日本と比べてどのくらいあるのですか?あと、共産主義とか資本主義とか、今の中国はどっちですか。共産主義の名残はあるのですか?いきなり変わるものですか?あと、日本人が中国に住むとしたら苦労する点は何ですか。この辺が留学生に尋ねにくいことです。(学部三年) |
→ 問得好!授業で応えます。
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最後に、ひとつの中国についての問題があります。WTOを加盟する中国に対しては、政治改革が必要です。もし、政治改革をすれば、どこからどこへ改革すればいいですか?上から下へ?(as
Russia?) 下から上?(as |
→1920年代初頭の中国で「問題と主義」という論争がありました。当時中国には近代化と統一、そして独立という大きな問題がありました。問題の束が降りかかっていたのです。それに対して、個別的に問題を解決すべきか、それを解決していく主義を議論すべきかについて論争が繰り広げられました。現在もこうした議論が必要かもしれません。中国の20世紀は、近代化と国民国家建設の歴史です。過度の近代化は、逆に国内の分裂を招きます。上下という考え方のほかに地域統合の観点も必要です。上から下、下から上という二分法は必ずしも問題解決の糸口にはならないと思います。私は、何をすべきかの前に何が問題かという議論をすべきだと考えます。自由、民主を憲法に入れるとか、ただ法制だけ整備すれば、それで政治改革になるとも思えません。制度と言うものは、単に条文だけ変えても実際にはそれほどの効力を持たないからです。そして、プライオリティの決定が重要では?いま重要なのは、「安定」、「成長」のはずです。そのために何をすべきか、そういった優先順位からの発想が肝心でしょう。
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ぜひ教えていただきたいのですが、私は中国の女子サッカーのレベルは、日本が現在のようなレベルになる以前から、とても高かったと記憶しているのですが(現在は北朝鮮が突出していますが)、中国の女子サッカーのことについて、何かご存知のことがあれば、ぜひご教示ください。 (一部略、修士課程) |
→中国のサッカーについては、女子サッカーを含めて日本にもファン層が形成されています。まずは基本としてhttp://www.geocities.co.jp/Athlete-Olympia/1628/を御覧ください。中国語を読むことができれば、かなり公式発表めいていますが、http://sports.sohu.com/36/27/news210472736.shtmlに歴史的変遷がまとめられています。
【学習の方法】
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アジア政治にはとても興味があります。中国の文化や歴史、近年に至るまでの外交など総合的に学べるようなテキストがありましたら、紹介して頂きたいです。また、中国語を学びたいのですが、どんな方法が効果的でしょうか。 (学部三年) |
→まずは新書(岩波、中公、講談社、・・・)などの中国関連のものを片っ端から読まれてはどうですか。あとは放送大学のテキストですね。これも良くまとまっています。中国語については、大学内部でも言語文化部で授業をやっています(第二外国語とは別、一般向け、学生は無料)。法学部では基礎セミナー(文献購読)と特別演習(中国語での議論)をやっていますが、既習者向けです。語学はあくまでも基礎が大切。ただ、中国語の場合には活用などが無いので、単語勝負のところがあります。相手を見つけて話しまくるのが単語を増やす近道でもあります。その意味では語学交換が有効的です。あとは個人的な状況にも因りますので、研究室にいらしていただければ御案内します。
【心情吐露】
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タイに行ってみたいです。 (学部三年) |
→中国、台湾、アメリカについて多く滞在している国です。本当にいいところですよね。