04年6月23日
第九回・国際地域政治研究「中国・台湾」
<質問・回答>
川島真(shin@juris.hokudai.ac.jp)
〈朝鮮半島1〉
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今日、38度線の「統一放送」が停止されたというニュースを見ました。北から提唱されたという記事でしたが、これは何を意味しているのですか?先生の見解を教えてください。(6月16日分、学部四年) |
→アジア放送協会 http://www.246.ne.jp/~abi/gunji2.htm に掲載されている記事を下に紹介します。
韓国・北朝鮮、軍事境界線での宣伝活動を中止
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韓国と北朝鮮は6月3日から4日にかけ、韓国北東部の雪嶽山で第2回将官級軍事会談を開き、黄海上で偶発的な軍事衝突を避けるため、双方の警備艦艇が共同周波数を利用するなど6項目の衝突防止策に合意し、あわせて、6月15日から軍事境界線地域における拡声機、電光板、気球によるビラ散布などのすべての宣伝活動を中止することと、宣伝に使った拡声機や電光板なども8月15日までに3段階で除去することで合意した。これにともない、6月14日をもって、南北双方が軍事境界線地域において実施していた拡声機放送が中止された。韓国側は「自由の声放送」という名で1962年以来続けて来た拡声機放送を、14日の2359に終了させた。以下は6月14日に放送された「自由の声放送」の最後の番組「今日の焦点」の内容である。 「今日の焦点」。人民軍の皆さん、こんにちは。国内外の主要ニュースを解説する「今日の焦点」の時間です。この時間には、去る3日と4日の二日間、雪岳山で開かれた第2回南北将官級軍事会談と、6月10日から12日にかけて開かれた南北軍事実務会談の結果により、去る1962年から42年間継続してきた私たち自由の声放送が、今日付で北韓の拡声機放送とともに幕を下ろすことになった歴史的事実と関連してお話しします。人民軍の皆さん。皆さんもよくご存じの通り、去る3日と4日の二日間にわたって雪岳山で開かれた第2回南北将官級軍事会談で、軍事境界線地域での双方の拡声機放送の活動を含めた、全ての宣伝活動を中止することで合意しました。のみならず、この度の第2回南北将官級軍事会談は、黄海北方限界線上で発生しうる偶発的武力衝突防止対策を設けることで、南北間の軍事的信頼を構築した意味のある会談でした。今まで続けてきた南北韓間の数多くの会談の中で、この度の第2回南北将官級軍事会談が高く評価される理由は、軍事境界線地域での双方の宣伝活動を中止し、黄海上での偶発的衝突を防止するようにしたということにあります。しかし、長い歴史を誇る自由の声放送の中止は、人民軍の皆さんに新しいニュースの伝達の重要な媒介者であり長い間の友人だったために、多くの名残惜しさを残しています。第2回南北将官級軍事会談の合意によって、今日以降からは耳慣れた放送をこれ以上、聞けなくなったためです。顧みれば、私たち自由の声放送は去る1962年に始まって以来、今日に至るまで、国内外のニュースをはじめとした多様な常識と、楽しい音楽などを放送し、軍事境界線地域に勤務する人民軍の皆さんの心を開く目と耳の役割を忠実にして来ました。さらに、私たちは自由の声放送を南北間の自由と平和、そして南北統一を早めることのできる放送だと自負してきました。人民軍の皆さんもまた、この放送に耳を傾けたのでした。去る2002年9月の釜山アジア競技大会と、2003年8月の大邱ユニバーシアード大会で北韓選手団が繰り広げた競技を生々しく伝えることで、南北が一つの民族であることを見せつけることも、そのまま立証されたのです。また、拡声機放送は半世紀が過ぎても南北に離れて暮らしている離散家族の劇的な再会と、南北経済交流と協力、京義線と東海線の道路工事、開城工業団地の造成、そして新義州竜川駅の爆発事故で受けた北韓住民達の被害を減らすために我が国の住民達が誠心誠意込めた慰問品を伝達するニュースを伝えることで、やはり血は水より濃いという同胞愛を醸し出した事実を、人民軍の皆さんはよく記憶されているでしょう。このような一連の状況を推し量ってみれば、去る42年間、軍事境界線地域の人民軍達の同伴者だった私たち自由の放送の中止は、本当に残念なことだと言わざるを得ないでしょう。今、南北は単純な経済交流の次元を越え、民族の和解と統一に向けた変化を続けています。従って、私たちが今からしなくてはならない道は、民族共同の繁栄と統一を早めるための南北間の合意事項を着実に履行していくことです。併せて、私たちは同じ民族として今日よりより良い南北関係の進展と発展のために、和合して平和を愛し相互の信頼をすることで、我が民族には強い誇りと自負心を植え付け、周辺国と全世界の人達には我が民族の信頼と団結した力を見せつけなくてはならないでしょう。残念ではありますが、南北双方が2004年6月15日00時から、軍事境界線地域で一切の宣伝活動を中止することにしたのも、即ちこのような脈絡から受け入れなくてはならないでしょう。最後に、祖国の平和的統一を祈願しながら、その間、私たち自由の声放送を聴取してくれた人民軍の皆さんに、心から感謝いたします。 |
自由の声放送 ; 韓国軍が放送する対北拡声機放送。軍事境界線に沿って設置された大型拡声機を通じ、1日15時間10分、断続的に放送していた。1962年に開始され、1972年の南北共同声明による合意によって一旦、誹謗中傷放送を中止したが、1980年に北朝鮮側が放送を再開したため、韓国も放送を再開した。2000年6月の南北首脳会談以降は直接的な誹謗中傷をする内容を改め、韓国や世界のニュース、韓国軍の活動、世界に躍進する韓国の姿や韓国の歌謡曲、ホームドラマなどを放送するとともに、仏教、キリスト教、カトリックの宗教番組も放送していた。
これらの記事からもおわかりと思いますが、今回のことはあくまでも「南北」の間の「平和的統一」に向けてのプロセスの中に位置づけられています。北朝鮮は、中国、ロシア、韓国とそれぞれ、中国とは中国東北部の経済振興や安全保障的観点から、ロシアとも同様に経済や安全保障的観点から、韓国とは統一の観点から交渉をおこないながら、アメリカに対峙していくことになると思われます。そうした意味で、今回の施策は六カ国会議に向けて、「統一」というファクターを強調する意義があったものと思います。そうすることで、中国、ロシア、ひいてはアメリカをけん制できます。
〈文学〉
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現代の中国、台湾を代表する作家は誰でしょうか。どのような文学が人気があるのでしょうか。(6月16日分、学部四年) |
→ これは難しいですね。教科書的回答としては、中国を代表するのが魯迅、台湾が・・・(困難)ということになるのだと思います。台湾文学については、山口守編・藤井省三ほか著『講座 台湾文学』(国書刊行会、2003年)、や藤井省三『台湾文学この百年』(東方書店、1998年)を見てみては?中国文学については、藤井先生の『中国文学この百年』(新潮社、1991年)などを参照ください。あと、お勧めしたいのは、岩波文庫などに採録されている、中国文学それじたいを読むことです。比較的新しい翻訳は短編集などとして出版されています。
〈対日新思考〉
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中国政府の対日外交における「新思考」とは何ですか?それは日本にどのような影響を与えるのでしょうか。(6月16日分、学部四年) |
→以下に早大の劉傑さんのまとめを転載します。
http://www.asahi.com/international/aan/haiken/haiken040204.html
「対中新思考の険しい道のり」 この一年間、日中関係の最大の話題は中国のジャーナリストや学者によって提起された「対日新思考」であろう。発端は人民日報評論員だった馬立誠氏が、政策論議で知られる「戦略と管理」誌に掲載した論文「対日関係新思維−中日民間の憂い」(2002年第6号)であった。その論点を要約すると次のようなことになろう。 戦後日本が経済成長によって確立した経済大国の地位はアジアの誇りであり、民主と法治が定着している日本には、「軍部」が独走する環境がない。中国への侵略戦争について、小泉首相は盧溝橋を訪れ、犠牲者に対する哀悼の意を表明してきた。日本の謝罪問題はすでに解決しており、形式にこだわる必要はない。日本は低金利の円借款で誠意を表明してきたので、これを正確に評価すべきである。政治、軍事大国を目指す日本について騒ぎ立てる必要はない。新たな競合の場は経済と市場であり、両国民は狭い観念を克服して、一体化に向けて進むべきである。馬論文は胡綿濤主席をトップとする中国の新指導体制の発足に合わせるように公表されたこともあり、歴史認識を対日政策「政治的基礎」と位置づけてきた中国の対日政策の転換を暗示しているのではないかと注目を集めた。
これに続いて、中国人民大学アメリカ研究センター主任の時殷弘教授も論文を発表し、日中関係について5項目の提案を行った。1.歴史問題を両国の関係改善の障害としないこと。2.日本の対中国投資を拡大させること。3.日本が軍事大国になることを恐れぬこと。4.東アジアの政治経済における日中間の協力関係を強化すること。5.日本が国連の常任理事国になることを支持すること。アメリカ研究で斬新な視点を提示し続けてきた時氏は、米中関係が協力と対立のサイクルを繰り返し、台湾問題がますます不透明になってきた極めて不安定な状況の中で、日本への接近は中国の国益に適うものであると主張し、中国が対日関係のなかで外交革命を起こすよう呼びかけた。これら知識人の主張が中国政府の対日政策の転換をもたらす結果になるのだろうか。外交政策調整を進めている新指導部は慎重に状況を見極めているように思われるが、政府の方針を左右しているものは国内世論の動向である。中国では、指導部だけの意思で方針が決まる時代はもはや過去の歴史になりつつある。
数年前までに考えられなかった「新思考」の台頭は中国の「言論の自由」の進歩を意味するものである。しかし、この新しい対日認識に戸惑う中国人は少なくない。インターネットの普及で主張を自由に表明できるようになった「網民」(ネット利用者)は、「新思考」の主張者に猛攻撃を浴びせた。書き込みのほとんどは日本政府の歴史認識への不満であった。西安の大学で日本人留学生が演じた寸劇が大規模な抗日デモにまで発展した事実は、「対日新思考」を支える基礎が中国に形成されていないことを意味するものであった。否、「新思考」への反発が反日の学生デモに発展したという解釈も成り立つかもしれない。やや気になることは、中国の「新思考」に対して日本外交の担当者からは何等メッセージも発せられていない点である。
(『新国策』「時潮」2003年12月15日号より転載)
→こうした新思考が果たして日中関係に新たな局面をもたらすのかどうかまだ不明です。