2006年度 国際協力論(川島担当部)採点講評
提出期限 : 9月6日(水)
提出場所 : 公共政策大学院事務(法学部棟1F)。公共政策大学院秘書室ではない。
形式など : 必ずA4版。手書きかワープロかは自由
字数など : 2000字前後
採点方法 : 石弘之先生担当部を50点、川島担当部を50点として採点する。
注意事項 : ウェブサイトからの転載、そのほか他人の文章を利用する場合には必ず出典を明記すること。これがない文章は剽窃とみなす。また、他の学生の答案とほぼ同一と看做される答案を提出した場合、すべての答案を不可とする。
問い合わせ先 ⇒ 川島真 shin@juris.hokudai.ac.jp
[レポートの課題]
内閣府、日本外務省、JICA、JBICあるいはDAC、ADB、UNなどのウェブサイトにはいり、それぞれが公開しているODA、国際協力に関する今後の方針、指針、これまでのアセスメントを参考にし、(授業の内容も踏まえながら、)(1)いま日本のODAにとって何が問題となっており、それがいかに認知、解決されてようとしているのか、(2)またその問題のあり方、解決の方法は世界的に見てどのように位置づけることができるのか、について応えなさい。
[採点結果]
総合評価は、石先生とも相談の上、秀=1、優=8、良=5となった。川島担当部は、秀=1、優=5、良=6、可=2であった。二人の採点結果を加えた上で、今年は「甘め」に評価を出した。
[講評]
日本のODAについては内閣府、外務省のウェブサイトにはいれば、一連の改革案、意見書に出会うだろう。また、DACのウェブサイトなど、国際的な評価を見れば、そこにも日本のODAに対する外からの視線に出会うだろう。その双方を見比べて、日本のODA改革を批判的に検討してもらうのが課題。授業でも二コマ分は、この内容に費やしている。
日本のODA改革に関する書類を見れば、「効率化」が提唱され、また縦割りの是正など組織改革論が多く見られることに気づく。そして、国内への広報など、トランスペアレンシー、アカウンタビリティに関する内容も多い。そして、内容的には貧困、環境、平和構築など地球規模での課題への取り組みが挙げられ、基本的な姿勢には人間の安全保障が提唱される。
しかし、国際社会が日本に求めているものは何であろう。それは、まずは経済大国としての負担である。先進国が軒並み対GNI比の率を上げている中で、日本だけがそれを下げていることへの疑問である。なぜ世界各国はODAの予算増額をはかっているのに日本はそれが無理なのか。それは経済、および財政縮小だけで説明できるのか、ということがある。次に、地球規模への課題への取り組み、特にアフリカへの支援があろう。これについては、小泉首相の宣言などがある。しかし、これはなかなか実行に移されない。それはなぜであろうか。そして、アンタイド率の問題があろう。これは円借款を含めれば改善されたように見えるが、無償などは依然としてタイド率がきわめて高い。このほかにも、NPOなどとの連携など多くの問題を抱えている。
簡単に言えることはこうした国際社会からの批判、目線と日本国内の改革がかみ合っているかということである。「かみあっていない」ということはすぐにわかるのだが、それは何故なのだろうということを考察してほしい。それがあってこそ、「・・・べきだ」論を克服できよう。事例としては、日本が対アジアODAを重視してきたこと、それと戦後保障が絡んできたこと、同時にそれが日本の対アジア経済進出がセットになっていたことなどを理解したうえで、そのアジアの国々が援助対象国から外れていく中で、戦後保障+経済進出で形成されていたODAが崩れ始め、その次のODAのあり方に意義を見出せないでいるということがいえる。具体的には、まず日本のこれまでの対アジア重視、日本経済発展誘導型のODAについて総括を行ったうえで、新たなODAの姿を最定位していくことが求められよう。財政問題だけでの改革論では、逆に閉塞状況に陥らせる可能性がある。そのためには、「国益」概念の再定義も必要となる。直接的なフィードバック、公共事業型の発想では、地球規模の課題に取り組む上で、無理が生じることになるからである。