東京女子大学 中国近現代史Tレポート講評

【総論】
総じてテキストを手堅くまとめるレポートが多かった。選ばれている問題は、
第一章(2)、第三章(2)、第四章(3)、第六章(3)、第七章(1)、
第八章(3)などが多い。以下、問題別に内容を見てみよう。

◆第一章(2)
「冊封・朝貢関係と互市との関係について、中国と日本、朝鮮の相違点を
まとめてみよう」という問題文の日本語の問題があったのだろうか、中国、
日本、朝鮮という三者それぞれにおける、冊封・朝貢関係と互市の関係を
論じた答案はほとんど無く、多くが中国と日本についてまず論じ、ついで
朝鮮の状況を論じていた。これでもかけないことは無いが、こうなると、
長崎貿易を互市だと記すだけで、中国にとっての互市と朝貢の関係などが
おちていくことになる。日本や朝鮮にとっての冊封・朝貢と互市との関係
をいかに見るのかということは応用問題だが、これについても言及して欲
しかった。

◆第三章(2)
「日露戦争の前後で、東アジア情勢はどのように変化したか」という問題
なのだから、東アジアで何がどのように変化したということをまとめてほ
しかったのだが、答案の多くは、歴史的な過程を時間軸にそくして記して
いた。そうすると、何がどのように変わったのかということがわからなく
なってしまう。また、日本の戦争での勝利とそれにともなう変化だけに
注目して、中国の情勢、朝鮮の状態などについて言及しないものも目立っ
た。「東アジア」と記してあるのだから、記述が日本だけに偏重しないよ
うに注意して欲しい。

◆第四章(3)
「中国をめぐる東アジアの国際政治において」、「日本が突出していく過程」
と「列強の対応」をまとめる。まず、1901年の北京議定書、あるいは辛亥
革命前後における列強の中国に対する共同関与のありかたについて記述した
上で、第一次世界大戦当時の状況、対華二十一カ条要求、それへのアメリカ
やイギリスの反応、ひいては中国での反日運動についてまとめればいい。

◆第六章(3)
「日中全面戦争はどうして阻止できなかったのか」という大きな課題。
これについても、歴史過程を叙述しているものが目立った。あくまでも
「なぜ」という問いに答えるものであることに留意してほしい。また、日
本側の要因だけでなく、中国側が日本との戦争を決意したこと、国際情勢
についても触れることが望まれる。また1935−36年における和平交渉
が頓挫した原因、盧溝橋事件が局地的紛争にとどまらなかった点についても
論じて欲しい。

◆第七章(1)
「日中戦争とアジア太平洋戦争にはどのような関連があったのか」という点
については、ドイツやイタリアと中国の関係の変容、日独伊の三国の防共
関係の形成と第二次世界大戦の開始、日本の仏印侵出などといった経緯と、
アメリカやイギリスによる、そうした対立構造を前提にした対日包囲政策お
よび対中支援などがまとめられると順序だてて説明できるだろう。

◆第八章(3)
「台湾と朝鮮における植民地支配のありかた」の共通点と相違点。これは、
第八章全体にちりばめられた論点を拾っていけば回答がつくれる、いわば
国語の問題。領事裁判権の問題、総督の権限の問題や財政の問題、外国資本
のあり方の問題、教育そのほかについて、触れられればいいだろう。宣教師
の記述をいれる場合には、きちんと比較になるように、絡ませ方に注意する
必要があろう。


【成績の状況】
(1)成績のつけかた
AA   ⇒ 「S」
AB   ⇒ 「A」
B+B+ ⇒ 「A」
B+B  ⇒ 「A」
BB   ⇒ 「B」
BC   ⇒ 「B」
CC   ⇒ 「C」
そのほか ⇒ 「F」

(2)結果
S=2名、A=8名、B=8名、C=2名、F=2名
X(評価不能/未提出)=2名(合計 24名)

(3)そのほか
ウェブ上の内容から貼り付ける際には、引用を明示して欲しい。また、
引用するにも限度というものがある。剽窃と判断されるようなコピペ
はやめて欲しい。