2004年度川島ゼミ ゼミ論集紹介

 

 2004年度のアジア政治論のゼミでは、各自が自由にテーマを選び、論文を書いていくという課題を設定した。それぞれが、自分の学習計画の中でテーマ設定をおこなったため、きわめて多様な内容となったが、討論をつうじて「テーマを設定するということ」、「その重要性を説明すること」、「議論を組み立てていくこと」、「内容を証明すること」、「相互に議論をすること」を学びつつ、一定の自己表現をする練習をした。また、本ゼミには留学生が多かったこともあり、多角的な議論ができたことは収穫であった。こうしたゼミ自身の環境も本ゼミの一つの特徴であった。そして、2004年10月4日には「第一回 東アジア・大学ゼミナール交流フォーラム」として、神奈川大学外国語学部中国語学科・孫安石ゼミナールと、合同研究発表会を北海道大学で開催した。こうした経験は、各自が日常的な快適空間のなかで話をしているのかということを知り、新たな視点やスタンスを体感するいい機会になったものと思われる。

 各自の書いたものは、注のつけ方も、論証の方法も、あまり褒められたものではない。だが、敢えて「完全」を目指そうとはしなかった。それは、このゼミ論集が学生たちの学習の記録としての意味も持つからである。

宇都宮君は、2005年秋からの台湾留学を控えて、台湾の政治社会状況全般を学ぼうとし、河村君はこれまでの豊富な読書をふまえ、人権といった普遍的論点と中国をすり合わせようとした。2005年秋から吉林大学留学を控え、また将来的にアメリカ留学を考える国吉君は、「満洲」留学を控えて、戦後処理とそこへのアメリカの関わりに深く踏み込んだ。次田さんは、ゼミ半ばで2004年秋から台湾大学に留学、もともとのテーマであった「東アジア近現代における社会主義」について、特に台湾に絞り込んだ課題を設定した。呉姿瑩さんは、台湾大学経済学系からの留学ということもあり、経済政策に関心を持ち、不良債権、産業再生機構に関心をもち、日本と台湾の比較的検討に取り組んだ。楊e光さんは、大学院研究生としての研究テーマを深めていく意味で、日本という帝国の中での台湾の位置、またそれを議論する空間の問題に取り組むうちに、植民地学、植民政策学の問題にたどり着いた。

  それぞれが課題を進め、ゼミの運営をおこなってうえで、TAの渡部直子さんに頼るところ大であった。また、本論集の編集もまた、渡部さんの手による。記して謝意を表したい。 

 

2005年6月29日

 

                                      北海道大学法学部(アジア政治論)

 

                                                                          川島 真

 

(ゼミ論集「おわりに」より抜粋)

 

 

目次

 

「はじめに」渡部 直子                         ・・・3

 

1.「台湾−民主化までのプロセスとこれからの展望」宇都宮 渓(学部2年) ・・・4

2.「人権論から見る中国研究、中国から見る人権思想」河村 寛(学部3年) ・・・17

3.「日本の国際復帰をめぐる政治情勢−アメリカ対日賠償政策の変遷と

日本の賠償責務の変化」国吉 聡志(学部3年)            ・・・26

4.「日本統治時代の台湾における左派思想」次田 亜美(学部4年)     ・・・47

5.「日本における不良債権の現状について」呉 姿瑩(学部交換留学生)   ・・・57

6.「植民政策学をめぐる政治思想−植民地台湾を中心に−」楊 e光(研究生)・・・66

 

「おわりに」川島 真                           ・・・71