2007年4月26日 中国現代史研究会
礪波護・岸本美緒・杉山正明『中国歴史研究入門』(名古屋大学出版会、2006年1月)
【外交史の面からの考察】
川島 真
kawashima@waka.c.u-tokyo.ac.jp
はじめに
1.第九章「清代」(岩井、加藤、谷井)
「清代史研究は、20世紀の初頭に同時代史研究としてはじまった」(214頁)
◆露清関係
「条約問題はとかく政治的になされやすいが、…は、いずれも史料に準拠した実証的方法で両国関係を論じている。」(221頁)
◆官制
「清朝の官制を総体的に論じるものとして、20世紀初頭の台湾総督府編[1972]をこえるものはいまだにない。しかし同書は、近代行政法の理論にのっとっているため、どうしてもネガティヴな評価が出てしまう。同書が詳しいわりに腑に落ちないのはそこに理由がある。同時代人の論述としてはほかに服部宇之吉[1966]、狩野直喜[1984]があり、むしろこちらの方が明確なイメージを与えてくれる。戦後のものでは、坂野正高[1973]がある。」(223頁)
◆政治
「華夷思想・中華思想については、安部健夫[1971]が古典であり、平野聡[2004]が政治学の立場から論ずる。対外交渉に当たった清末の官僚の行動様式を分析した坂野正高[1970]も、政治学的な分析方法による意欲作である。(225頁)
2.第十章「近代」(井上、村上)
1.研究の視点(井上)
インパクト・レスポンス ⇒ チャイナ・センタード・アプローチ
2.研究の展開
<2>政治・外交
◆中華世界の動揺 アヘン戦争・第二次アヘン戦争⇒太平天国運動⇒辺境の危機⇒日中関係
・日清戦争については日本史の立場からの研究が当然ながら多いが、中国史の立場からの日本人研究者による研究は必ずしも多くない。
<3>社会・経済
◆アジア交易論をめぐって
3.史資料の解説
史資料
外国語史資料、私文書?
3.第十一章「現代」(久保・江田)
1.研究の視点
民国史/連続性
2.研究の展開
<1>政治史・思想史
◆中国現代政治史はどのように再構成されてきたか−「民国史観」の提起
革命、それからの脱却
◆民国の政治と人物(1)(2)−政治家・革命家・政党/資本家・軍閥・思想家
◆地域の政治過程の成立とその発展への注目
◆新たなパラダイムの構築をめざして
◆中国現代の「運動史」はどのように追及されてきたか
五四運動についての論争の整理
「…民衆運動史の研究は、これ以後、むしろ後退の道を歩んだかの観がある」
(273頁)
◆共産党史と左翼諸派はどう評価されているか
3.史資料の解説
☆史料の「生産者」としての立場の必要性、史料の消費者としての視線
4.第十二章「世界の中での中国史」(杉山・岡本)
「そうしたところに、今後の日本における中国史研究がめざすべきひとつの大きな目標があるのではないか」(296頁)
「むしろ、日本の研究のほうが旧来型の王朝断代史や漢族中心史観にとらわれがちにみえるのは、おもしろい現象といっていいかもしれない」(298−299頁)
「『世界史のなかの中国史』は、まことに茨の道であるだろう」(301頁)
「…両者ともなお、漢文的修辞の呪縛を免れていない点をみなおさなくてはならない。以下、不必要とみえるくらいに、それ以前の研究にこだわるのは、まずそこから自由になる必要があるからであって、両者がいかに中国史の見方を規定したかを逆説的に物語るものである。」(301頁)
「こちきた議論を重ねるよりは、みずから一歩をふみだすにしかず。遅れているからこそ、可能性もあろうというものだ」(314頁)