2006年1月27日(金)
グローバリゼーション研究会
中国外交の展開と東アジア共同体
川島 真 shin@juris.hokudai.ac.jp
1.中国外交のおかれている状況
(1)全方位外交、脱大国重視、地域(安定)外交の展開 → 経済発展、投資環境、域内貿易
(地域的な他国的枠組みに積極的。二国間外交重視からの移行)
(2)地域設定:上海協力機構、ASEAN+3、APEC(安全保障は話し合わない)など。
(3)大国の一つとしての影響力。六カ国会合。しかし、北東アジア地域協力の難しさ。
(対日関係。日本孤立化外交?)
(4)国際標準準拠の強調。破壊者ではなくて、構成員であることを強調。今年はWTO仕上げ。
(中国脅威論という脅威)
(5)中米関係をどう見るか。イラン問題などでの「挑戦的な」外交。二国間では、個別分野で対応、対話、問題解決。安全保障問題は不問。但し地球規模では潜在的挑戦者として対応?日本は、安全保障に依拠した日米関係協調。中国は安保以外の各側面か。
2.リージョナル・ガバナンスと東アジア共同体論
(1)決定的に欠如してきた東アジアの国際公共財
(2)傑出した機能的な意味での統合をいかに利用するか
(3)拡大するアセアンへの期待
(4)そうした国際社会形成における国家、リーダーシップの位置づけ
(5)理念的な問題、アイデンティティ
(6)過度に強調された日中敵対論、実際には「中国・マレーシア連合とそれ以外」??
3.ナショナリズムと歴史問題
(1)国家・社会の関係の変容。民主化ではないが、(制度化されていない)異議申し立ての空間/自由意見表明可能な言論空間の拡大、形成。そこに現れる「ナショナリズム」。
(2)経済発展にともなう自信もある。やや現実にそぐわない「偉大な自画像」。しかし一方で、「理性」「文明性」の強調。
(3)総合的な「歴史」の組み換えか?あるいは再引き締めか。それとも微調整?
(4)歴史問題における対日批判、最終的には自らの「正しさ」の再確認。
参考:『中国青年報』の<氷点 週刊>に1月11日掲載の中山大学・袁偉時教授の文章「現代化と歴史教科書」をめぐる議論。中央宣伝部による氷点停刊。編集者辞職。
4.根本的問題としての「台湾」
(1)中米関係における最大の矛盾点
(2)台湾政局の流動化(単線的な「台湾化」については頓挫)
(3)両岸経済の緊密化、しかし地域枠組みに台湾を単独で入れることには反対。