20041210

於:NPO法人ねおす事務所

「新しい観光を担う役割 地域コンシェルジュ育成講座」

 

異文化理解 

 −国際理解/価値観比較(日本と台湾、中国)−

川島 真

(北海道大学大学院法学研究科助教授、shin@juris.hokudai.ac.jp

 

T.東アジアから観た北海道観光

 

1.       北海道を目指すひとたち

→台湾のヤフーに「北海道」といれると? …2200万件ヒット。

そして「雅虎自身の賛助ページ」も多数

戀上北海道PayEasy旅遊網 - 旅遊玩家James帶你暢遊北海道,深入北海道的吃喝玩樂,享受賞雪趣泡湯樂。www.payeasy.com.tw

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(a)  非日常・異世界・・・・・大自然、「北」のシンボル=雪、流氷→西洋的な自然環境への憧憬

                ロマンティシズム

(b)  Imageの再生産・・・・・ドラマ型(北の国から、「日本偶像劇場」の世界)

                ブランド型、流行追認型(富良野に行ったことがあるか?)

     台湾の特別な事例:上の世代が尊重する東京、京都とは違う日本の発見。

     「温泉」については微妙。なれた台湾人。中国人も温泉好きだが習慣が大きく異なる。

 

  しかし逆に見ると

   期待されているのは非文明性、田舎、辺境性。あるいは日常にない奇抜なもの、夢物語。しかし、北海道側はそれを再生産する必要性。また「旅行」である以上、トラブルや非常事態に対応するだけの「文明的」環境が求められる。それが「北海道」ではないのだが・・・

 → テーマパークとしての「北海道」という考え方が必要だろう

 

2.背景

  北海道ブランドの形成 ← 「北」「雪」「スター」「ロマン」などなど

 メディアによる「北海道イメージ」の循環的形成

 台湾・香港発 → 韓国

          → 広東・上海 → 北京へ

     「ヨン様」ブーム、「冬のソナタ」ブームも基本的にこのラインの上で「仕掛けられた」もの。

     「南発」であることの重要性。またこれによって、旅行だけでなく、彼らの日常生活の中にも「北海道」が出現。北海道料理、北海道ミルクパン、乳製品、通信販売。日本の天津麺や広東麺と同じ。別に現地にあるわけでもないものがイメージの中で流通。ナチュラルさ。美しさ。

 

3.何が求められているのか 

  上述の期待されていることに応えていく必要、しかしそれだけでは飽きられていく(リピーターはつかめない)。

   → もし北海道への観光をより深化させていくならば ★ 何よりも本気になることだが・・・

(1)  上記の期待に応えつつ、新しい発見が必要

(2)  不安の除去(「大都会」があるとは思っていない。病院などインフラ)

(3)  付加価値の醸成

スポーツ(日本ハム、コンサドーレに台湾系、韓国系選手が?)

彼らの日常の中にある「北海道」の追体験 → 土産話づくり

「石を投げれば社長に当たる」…産業とセットに

教育と絡める(教育投資は惜しまないアジア)

  → 北海道は本気なのか?

(コンシェルジュの養成は「本気」の証だが・・・)

「数はアジア人で稼ぐ」

「団体旅行の割り当て」「招かれざる客」??

     

 

…彼らは別に北海道でなくてもいい。欧米にもいける。ただ、近いという魅力。しかし、近いならば東南アジアの魅力ある観光マーケットがある。シャングリラ、マルコポーロなど洗練されたホテル、サービス。エグゼクティブに宿泊しても一泊一万日本円強程度。日本への旅行は「高い」。それだけの満足が旅行それじたいから得られるのか?

 

    …「日本を見れば、北海道を見れば自然に感動するだろう」というのは無理。彼らの生活水準、所得水準は上昇。可処分所得は日本なみかそれ以上(香港、シンガポール、台湾、韓国も)

     …「アジア人」と括っていていいのか?中国の「富裕層」?それは何?個人旅行に切り替わっていく香港、台湾、香港、団体旅行が当分は続く中国。旅行慣れの度合いも大きくことなるのでは?    

     日本側も「イメージ」の中で対応していないか。相手に即しているか。「数合わせ」のために、「アジア」を十把一絡げにしていないか??? → コンシェルジュはきっとそれを克服するための貴重な存在。

 

U.異文化理解

  日本人の「合理」は東アジアでは「合理」ではないことがある。以前は、それを日本人の経済発展や文明性で覆い隠し、日本が正しいと考えてきたが、いま東アジア各国が急速に発展し、欧米留学率などは日本以外の国のほうが多くなりつつある今、日本が欧米文明の理解度が高いとか、先進国だとか言い切れない。そうした意味で、相手も自信をもって自分の考えややり方を主張してくるし、日本側は逆に自らの方法を相対化して(絶対的に正しいということではないことを自覚して)、何を考え、どのようにやろうとしているかを説明する必要がある。「相手を理解してあわせる」ことの前に、これが必要。

 

 たとえば・・・・・・・・・・・・・

 (1)交渉を進める上での差異

    「決める」ことへの違い。日本は決めてから実行するが、中国・台湾では「決め」ても状況の中で変化する。つまり「プロセス」が重視される。その結果、日本側は物事を始める前に肩に力がはいるように見え、逆に日本からは周囲がいい加減に見える。だが、途中で流動化させることが当たり前とする諸国からすれば、日本は状況の変化に対応しない、非合理な存在として映る。日本は決めたことはやり遂げないと混乱する、と考える。

 (2)仕事の起こし方、照会

    中国・台湾では基本的に不利なことは言わない。たとえばホテル探しを依頼するときに、「どんなところでもいいから探してくれないか」といって相手に依頼し、一度OKと言わせる。そのあと、どこでもいいと言われたから日本側が案を出すと、「どこどこが気に入らないから違うところを」といってくる。これは日本側からすると信じられない。要求は最初からすべて言ってくれ、そうしたらそれを実現するから、と日本側が言ってもなかなか出てこない。しかし、これは仕事の進め方の違いである。また、同じ照会を複数に対しておこない。一生懸命やってあげると、突然、その件は違う方にお願いしまして、気に入るところがありました、といわれてしまう。これは困る、と思うが、これもよくあること。自分の要望の実現可能性をあげる上では当然の所作。こちら側は、そういうつもりで応対するか、あるいは自分にだけ依頼するような信頼しあう相手をつくるか、どちらか。

 (3)トラブル処理

     「公」は自分の要望が実現される場。そうでないと不満が出る。ただ、その解決方法について、再発防止のための処理ということではなく、結果がどうかということが重んじられ、ミスを認めた場合、制度が悪いのではなくて誰か犯人を捜すケースが多い。従って、あまりミスを追及すると、再発防止システムの構築ではなく、相手企業の誰かが悪いと言っているように受け取られ、結果的に誰かから恨みを買うこともある。このあたりは慎重に。

 (4)面子?

    よく中国人は面子を重んじるといわれる。無論、日本人でも面子を重んじる。だが、そのありかたはだいぶ異なる。たとえば、誰かに注意するとき、日本人ではみなの前で注意することのほうが、どこかに呼び出して注意するよりも「軽い」。すなわち、面子に関わることはみなの前で言わないということになる。しかし、中国では逆。みなの前で注意することは絶望感を味合わせる。面子を保つなら、呼び出したほうがいい。

 (5)恩と貸し借り

    日本では、恩を受けるとすぐにお礼をしたがる。これは「縁」を壊す行為になってしまう。日本では確かにいいことなのだが…ある程度の貸し借りは(礼状などは出すにこしたことはないが)放置しておいて、何かのときにともっておくことが必要。そういう(見返りを期待しない)貸し借りの総数こそが「関係GUANXI」において重要。

 

おわりに

 コンシェルジュになること