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第十三回北大亜洲研究会(川島大学院ゼミと合同)

日時:2006年6月22日(木)16:30~
場所:新棟W401教室

題名:「最近の研究について-中国外交におけるソフトパワーの問題」
発表者:蔡 東傑氏(台湾・国立中興大学)

通訳:川島真

参加記

台湾における現代中国外交研究の第一人者である蔡東傑氏をお招きして、研究会が開催された。そこでは、蔡先生が最近取り組もうと思われている研究についてお話が行なわれた。近年アメリカにおいて、外交におけるソフトパワーの重要性が提起されているが、欧米世界が従来軍事力等のハードパワーを用いて覇権を唱えてきたのに対し、中国は昔から伝統的にソフトパワーを利用して覇権を握ってきた、ということが主張された。西洋が画一化を求めるのに対して、中国は多様性をそのまま維持するという形で秩序を形成してきたとする。そして、中国外交におけるソフトパワーの、近年の実際の外交での現われとして、(1)パートナーシップ外交、(2)南南外交、(3)フォーラム(論壇)外交、の3つが挙げられた。これは、中国の最近の「平和的台頭」の動きをソフトパワーの面から分析しようという試みである。
これに対して、伝統的な外交とのより具体的な関係、ハンチントンの議論との異同、中国モデルの東アジア地域以外での適用可能性、などについて議論が展開された。蔡先生によれば、これはもちろん完全なものではないが、アメリカ的な方法に対抗するという点において、一つの代替物としての中国モデルを示す、という可能性があるのではないか、ということが指摘された。なお、報告及び議論は中国語で行なわれ、適宜川島先生による翻訳が行なわれた。

(記:北大法学研究科博士課程 柳亮輔)

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