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中華人民共和国外交部档案館について

川島真
shin@juris.hokudai.ac.jp

2005年9月、筆者は中華人民共和国外交部档案館を利用し、多くの档案を閲覧した。この档案館は以前から話題になりながら、その利用状況について十分に情報が伝わっているわけではないので、ここに紹介したい。http://www.fmprc.gov.cn/chn/wjb/zzjg/dag/default.htm

1.公開している档案
解放後1955年までの档案。中には、1947年、1948年の档案も含まれる。
外交部のウェブサイトで公開している目録を添付したので参照されたい。

2.手続き
事前連絡が必要。外国人の場合、中国の機関に属していれば、そこからの連絡が望ましい。そうでない場合には紹介状があったほうがよい(なくても何とかなると思われる)。規定では、20日の前(「工作日」として20日前)に書面で申請する。上記ウェブサイトの「外交部档案館開放档案暫行弁法」を参照のこと。http://www.fmprc.gov.cn/chn/wjb/zzjg/dag/jdkf/t143266.htm

3.開放档案借閲処の場所

(1)外交部の本館ではなく、その南側にある外交部南配楼7階。
この建物は、外交部の職員の宿舎兼福利施設になっている(下の写真)。入るときに、門番に呼び止められるはずだが、7階に档案を見に行くと伝えれば、サインだけですむ。
郵便番号 100701 北京市朝陽門南大街2号 外交部档案館
電話番号 6596-4294 6596-4295 ファックス 6265-4297
電子メイル dag_jdc@mfa.gov.cn
7階に着いてエレベーターを降りるとすぐに案内があり、小さな部屋で申請をする。電子化された目録で検索し、閲覧したい档案を申請、申請経費を支払ってパスワードをもらってから、横の閲覧室に移り、パスワードをパソコンに入力すると、申請した档案が画面で出てくる。すべての公開档案が電子化されている。検索についてはキーワード検索が便利であろうが、検索機能の精度についてはよくわからない。年代別、国別、档案番号による検索も可能。
(2)申請と申請経費
档案申請にあたっては、一回10件までで、档案申請経費として一軒につき5元を支払う。
(3)複写
パソコン画面上から複写申請を行うことができる点ではとても便利。しかし1枚10元という破格のお値段。また以下の档案は複写できないという規制。
・毛主席、周主席による「批」など ・電報類 ・対話録・会談録
さらに複写申請をしてから、上部の「批」があって初めて複写物を受領できる。この「批」がおりてくるまでに一週間はかかる。その間に帰国した場合には、海外まで連絡するとのことである。

4.档案の状態
閲覧できる档案は、上述のように電子化されたものである。一見すれば気づくことであるが、文書の余白の部分について、ある部分は汚れを残したまま、そこに書かれたコメントや批が残っているが、ある部分についてはそうした汚れが不自然なほど綺麗になくなっており、果たして本当に原文書をすべて反映されたものか疑わしい面がある。そうした意味では見られるものは確かに一次史料であるが、これでこの档案を「見た」ことになるのかはわからないということがある。これはまさに档案の現物を見るか、原子化されたものを見るのかという点における問題性である。

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