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2004、2005年度計画

[2005年度計画]
本研究計画は、世界の中国研究界の中で問題とされてきた、歴史研究と現代研究の間の分断状況を発展的に克服し、長期的な視野になった研究を目指す点で独創的である。昨今、1949年を越境的に捉え、連続論の観点から歴史を再構成しようとする試みであるが、それらは必ずしも歴史研究と現代研究が共同でおこなっているわけではなく、両者は「ねじれ」、出あわない状態にあるという印象である。だが、本研究と基本的に方向性を同じくしたり、関連する研究計画も内外に存在する。国内では、申請者もメンバーである早大COEプログラム「現代アジア学の創生」における研究班「中国外交(史)研究会(清朝から現代に至る中国の外交に関して総合的な観点から研究を行う)」が、本計画と方向性を同じくしている。しかし当該研究班は研究費などに限界もあり活動が制限されており、その方向性を全面展開し、研究基盤を形成するに到っていない。そこで本計画では、当該研究班の中心メンバーを加え、積極的に当該研究班と協力連携する。平成17年度には、その第一歩として早大COEと合同で「中国外交史ワークショップ」を、札幌にて内外の外交研究者を招いて札幌にて開催。他方で、歴史方面を中心に、中国外交史研究会を京都府立大学で二度開催した。他方、上海の復旦大学で開催された中国外交史関連のシンポジウムに参加し、本プロジェクトの交流体制を整備した。平成18年度は、(1)17年度同様に、早大との協力関係の下で第二回シンポジウムを開催、また外交史研究会を3-4度開催、(2)学会の研究大会などに積極的にパネルを出し、問題提起をおこなうとともに、(3)台湾の中国近代外交史網站http://archms1.sinica.edu.tw/foreign/index.html との連携を深めるべく、各研究者の業績を紹介、(4)そのほか各協力者が各々のテーマで研究を深めていく予定である。現在のところ、シンポジウムは2006年の3月を予定している。このほか、次年度に向け、成果公刊の相談も進めていく予定である。

[2004年報告書]
■中国近代外交史研究会の組織・開催 http://www.juris.hokudai.ac.jp/~shin/017/kaken-index.html
現代中国外交研究については早稲田大学COEにおいて「現代中国外交(史)研究会」が組織されていることに鑑み、研究代表者の川島真と研究分担者の岡本隆司と協力し、中国近代外交史研究会を日本各地の大学院生を含みこむかたちで組織。第一回研究会7月18日、第二回研究会11月4日を京都府立大学にて開催。中国外交史研究の先端動向、史料、今後の研究科の可能性などについて議論を重ねた。この研究会は、今後も年間3-4回のペースで開催し、最終的に早大の研究会との合同開催も視野に入れる。

■海外の中国外交史研究との協力関係の構築
 中国で開催された「北洋政府的中国外交学術討論会」(於復旦大学、2004年8月27-28日)に研究代表者の川島真と研究分担者の岡本隆司が参加。中国の外交史研究の先端に触れるとともに、中国外交資料集の編纂などに対する協力関係について協議。参加記は『近きに在りて』という雑誌にて公刊した。また戦後の外交史については、川島がワシントンのウィルソンセンターを訪問。東アジアからの発信される東アジア国際政治史について、特に台湾のアーカイブの使用可能性について協議した。

■「中国外交史研究第1回ワークショップ-中国外交史研究への視座」 http://www.juris.hokudai.ac.jp/~shin/010/sympo/050203.html
 早稲田大学COE「現代アジア学の創生(中国外交(史)研究会)」を主催する研究分担者の青山瑠妙と協力するかたちで、中国・台湾などから外交史の専門家を招聘して、中国外交史研究のワークショップを開催。本プロジェクトの目指す近代外交史研究と現代外交史研究の架橋も視野にいれ、近代と現代の双方の報告者をたて、史料面やパブリック・ディプロマシーなどの面で通史的な視野での議論をおこなった。

■個別研究の進展および史料整備への努力
 研究代表者、分担者がそれぞれ研究を進め、岡本隆司『属国と自主の間』(名古屋大学出版会、2004年)などの成果を見た。また代表者の『中国近代外交の形成』(名古屋大学出版会、2004年)はサントリー学芸賞を受賞した。このほか、中国の外交官の日記などを子孫から貸与され、史料化する作業も進めている。これらは研究インフラ整備につながるものであろう。

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