アジア政治論第11回講義レジュメ

  • 2003年06月20日

2003年 6月20日
第十一回講義
アジア政治論講義

質問などは質問票に記入ください。授業が終わった後にいらしてくださっても結構です。
メイルのかたはshin@juris.hokudai.ac.jpまで。また教務掛前の8番のボックスに質問票をいれてくださっても結構です。レジュメなどは、 http://www.juris.hokudai.ac.jp/~shin/ にあります。

0.時事関係
1.国内改革を再優先課題とする中国
2.特に重視される経済建設
3.政治状況
(1) 中国政治を見る眼(Wank,David,Journal of Contemporary China,7(18),pp.205-227.)
・class image(階級イメージ)
・traditionalist image(伝統主義イメージ)
・totalitarian image(全体主義イメージ)
・managerial image (管理イメージ)
(2) 中国政治を見る日本の眼
(3) 国家体制の基本(鈴木賢ほか『現代中国法入門』有斐閣、1998年を参考にした)
・82年憲法の有効性(鄧小平以後の体制の連続性を反映)
・基本原理はどのようになっているのか。
  (A)人民民主主義独裁[人民民主専政]
  (B)社会主義国家
  (C)民主集中制
<全国人民代表大会>⇒議員数は約3000人。みな本職を別に持っている。

・中央の全人代と地方の全人代
・その地位の変化  54年憲法 国家の最高権力機関、国家の立法権を行使する唯一の機関
             75年憲法 中国共産党の指導下にある国家権力の最高機関
              78年憲法 国家権力の最高機関
              82年憲法 最高の国家権力機関
  ・権限の変化     54年憲法 憲法改正、法律制定、憲法実施方の監督、国家主席と副主席、国務院総理と閣僚、最高人民法院の長などの人事決定、国家計画経済の決定、国家予算・決算の審議と承認、省・自治区・直轄地の区画制定、大赦の決定、戦争と平和の問題の決定
                                    75年憲法 任免権について「中共中央委員会の提案に基づく総理・国務院メンバーの任免」に限定。
              78年憲法 国務院総理は依然として共産党が提案
                82年憲法 54年憲法にほぼ回帰。総理は国家主席の提案で全国人民代表大会が決定。
・人民代表自身は、大会への議案の提案、小組討論への参加、最高法院・検察院長候補の推 薦、国務院および下部組織への質問、地方視察など。
・会議じたいは年に一回。大体一ヶ月弱。
・実際の業務は「常務委員会」がおこなう。
⇒常務委員会の重要性
⇒職権拡大 
    大会閉会期間中の法律の補充と改正/国務院・中央軍事委員会・最高人民法院、検察院の監督/大会閉会期間中の閣僚・中央軍事委員などの選任/外国駐在全権代表の任免、外国との条約、重要協定の批准と廃棄、大会閉会中の戦争状態の宣言/全国総動員や戒厳の決定
  ・全国人民代表大会の問題性
(1) 常務委員会の権限拡大はある意味で機能的だが、代表制民主制から見れば問題。
(2) 議員の代表性が低い。また実質的な議案提案権に問題がある。
(3) 全体会議での審議はほとんどおこなわれない(短期間で多くの案件について投票)。
(4) 歴史的に見て、改革解放以前には56年までの第一期を除いて、あとはほとんど機能していなかった。たとえば人民公社の設置についても全人代にかけられていない。またベトナムへの出兵に際しても同様である。最近は全人代をまったく飛ばすことはないが、それでも常務委員会中心になっている。
(5) 投票行動として「反対」がいれにくい環境、実際に議案が「否決」されることはないということがある。92年の第七期第五回会議で三峡ダムに関する件について反対票が二割程度はいったことが印象的。
・代表選挙について⇒どのように代表が選ばれているのだろうか?
    農村部・都市部・華僑・解放軍というカテゴリー ⇒ 80年代には華僑がなくなる。
(1) 地方代表制…地区ごとに「選出」されている。 
(2) 基本的に間接民主制(4段階)
        79年選挙法改正 郷鎮区・区の無い市、および県では直接民主制度。
                    「選挙民大会」にて「選出」される。
                    それ以上のレベルでは間接選挙。ただし、末端側が候補者を挙
                    げる場合、必ずしも自らの代表を挙げるわけではない。
        70年代までは「等額選挙」=定数と候補者が同数。
        79年以降「競争原理」を一定倍数内部で限定的に導入。候補者を絞るまでに「民主
                    的協議」が必要とされる。       
        選挙運動は禁止されている。70年代まで挙手、79年以降無記名投票。
        70年代までは階級により選挙権、被選挙権を限定。70年以降は「地主その他の階級はいなくなった」との判断から階級規定を解除した。現在では、「精神病患者」、「反革命罪などの刑事犯罪で起訴、審理中」で選挙委員会が選挙権を行使できない、あるいはそれを禁止している場合、に限定されている。
  (3)中国の「民主化」
 
  <国家主席>
(1) 54年憲法では、国家主席はまさに元首であった。
        任免権、軍の統率権、対外代表…
      ⇒ 文化大革命期に国家主席は形骸化
(2) 82年憲法で復活 ⇒ 軍隊の統率権が外される。
                ⇒ 国家中央軍事委員会が重要になっていく(党の軍事委員会と別)                   
      ⇒ 法律の公布、国務院総理の任免、戒厳令・動員令の公布、戦争状態の宣言、外国 使節の受け入れ、在外全権使節の任免
 
  <人民政治協商会議>
(1) 中国の社会主義の特徴 ⇒ 「多元」主義。非共産党の政治グループおよび共産党が 統一宣戦線を築き、協議の組織をもっていたこと。
(2) 49年9月 統一戦線組織としての人民政治協商会議が開かれた。
(労働者、農民、軍人、知識分子、小ブルジョアジー、民族ブルジョアジー、少数民族、在 外華僑そのほか愛国人士)
    54年9月 全国人民代表大会発足、人民政協は
    「国家の建設事業や重大事項について全国人民代表大会および中央政府に提案する」
※民主党派 ⇒ 国民党革命委員会、中国民主同盟、中国民主建国会、中国民主促進会、中国農工民主党、中国致公党、九三学社、台湾民主自治連盟
(人数的には50万人程度。共産党員は5000万人)
⇒文化大革命中は機能停止
(3) 改革開放政策で復活
      近代化に向けての協力が必要な「知識人専門家」。
      台湾・香港との協力のうえで必要。

 <自治について>
  (1) 「中華連邦共和国構想」(1920年代の中国共産党) ⇒ 自治権、分離権
    「中華ソビエト共和国憲法大綱」(1931年) ⇒ 中華ソビエト、中華ソビエト自ら組織、あるいは自治、いずれも選択権あり。
    「各少数民族に民族自決権、および自発的希望による漢民族との連邦国家を作る権利を認める」(1945年、「連合政府について」)
(2)延安時代、支配区のモンゴル族などに対して区域自治。40年代後半の「東蒙古自治政府」「東トルキスタン共和国」をことごとく否定。
 (3)「中華人民共和国は各民族の友愛協力の大家庭」「少数民族の集居地区では区域自治をおこなう」「民族の言語、風俗、習慣、宗教を保護する」「大民族主義と狭隘な民族主義に反対する」(49年共同綱領)
  (4)「各民族の自治区は、中華人民共和国の不可分な一部である」(52年民族区域自治要綱)
        ⇒完全に分離独立否定
(5)現在の自治
     文字・言語の使用、公安部隊や民兵の編成権、自治条例の制定権
        中央政府は民族幹部の保護育成をおこなう
※「民族自治」と「地方自治」の混乱
※中国の民族区域自治の実質は、特殊な地方に付与された若干の地方自治と、「民族の文化的な自治」に過ぎない。
  (6)民族闘争   
    ・「民族闘争はつまるところ階級闘争」(63年毛沢東)
     59年 チベット動乱
     89年 チベットに戒厳令
・  「改革開放」時代、自治区は何で統合される??
    ⇒経済発展?中華ナショナリズム?中国ナショナリズム?
    ⇒宗教などの台頭
  <中央・地方関係>
(1) 区分
    1級行政区(省・自治区・直轄市)、…市鎮に到る4層構造。
(2)「地方自治」は実質的にも論理的にも認めていない。
   (a)地方の人民代表大会はそれじたいが権力体であるから自治は必要無い(レーニン)
    所謂「自治」が出てくるのは自治区だけ。
   (b)しかし、中央の統一指導を前提に地方の積極性を発揮させるという方針。
   ⇒(ab)は矛盾。
(3)中央の権限  
・地方政府の幹部の任免、配置転換権
・地方政府の法規、組織条例などの批准権
・地方政府の行政管理活動に対する強制命令権
・地方政府は中央政府のすべての指導を執行する義務をもつ
 (4)「収放」サイクルについて
  ・問題は財政権、企業管理権

 <一国ニ制度>
  これは台湾のところで。

 ※政軍関係、また党政関係は次回。

(質問などは質問票に記入ください。授業が終わった後にいらしてくださっても結構です)

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