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台北の档案事情(2008年3月31日)

 三月に一週間ほど台北を訪問することができた。国史館や中央研究院で史料を見ることもできた。このような時間が本当に貴重に感じられる。全体としてデジタル化の傾向は変わらないが、公開についてはやや内向きという印象だ。台湾史研究所の台湾省議会関連史料などもそのような傾向が見える。中央研究院近代史研究所に仮置きされている外交档案についても画面上での目録検索で申請することができる。もともと北投になっているものである。こうなってくると、外交档案の連合目録がほしくなる。近代史研究所では国史館と調整する用意があるという。

 林口に国家档案局が移り、そこに大量の档案が移管されるという件については、今回の選挙の結果でペンディングになるかもしれないとの話を耳にした。人事も含めて白紙ということかもしれない。国史館の館長人事もこれからおこなわれるであろうし、それ如何では档案の収集方針なども変更されるであろう。

 国史館の移転については実行に移されようとしている。この2-3年のうちだという感触である。総統府裏の交通部のビルに移ることになるが、そこには歴代総統関連の档案のみが移され、そのほかは現在のところのままである。この点はかわらない。ただ、大量に残されている交通部の档案を国史館に仮置きして、交通部跡のビルでそれを公開してはどうかという見解を耳にした。外部の意見だが、交通部档案が多岐にわたるものだけに面白い考えである。

 国家档案法と国家档案局、そして国史館などの機関の関係は依然“進化”している。現在のところ、何が国家档案で、何が機関档案かわからないということが現場の第一の問題になっていて、次にその国家档案でさえ国家档案局では収容できず、各機関で保存するということが問題になっている。中央研究院近代史研究所は、いわば国家档案か機関档案かの選択をしていく過程で、档案を仮置きするというかたちをとっている。だから、閲覧のたびに外交部に一応問い合わせる必要が生じるのである。国史館は異なる。国史館の場合には、機関档案となったもののうち、短期保存や廃棄対象となったもののうち、歴史的に保存される価値があると考えられたものについて、それを引き取るようにしている。以前、今後は行政院の下にある諸機関の档案はもう国史館には来ないと思われたが、そのようなことはなかった。

 当面の関心は国民党が勝ったことによる、人事、政策の変更であろう。

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