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比較政治論第4回講義レジュメ

第4回講義  2001年5月9日

比較政治論講義ノート

テーマ:韓国政治

■時事関係
 アメリカによる対東アジア政策(特に対中政策全面見直しについて)

■ 現代韓国政治を見る眼
1987年 6月民主化抗争 ⇒ 民主化宣言
                         90年 中華人民共和国と国交
                         91年 ソビエト連邦と国交
1991年 地方選挙の復活              91年 南北同時に国連加盟
1992年 文民大統領誕生(実質的に約30年ぶり)
1995年 地方選挙の本格化
1997年 大統領選挙(⇒平和裏に与野党交代)

key words
○ 分断状態/南北問題 ○国際情勢(冷戦/国際政治)○ナショナリズム ○地域主義

■韓国政治の変容に対する解釈
(1) 民主主義の定着過程の継続的進展(池明観.1995など)
  権威主義体制の崩壊 ⇒ 民主主義の定着へ
※ しかし、これでは韓国において6月民主化抗争が高く評価されていないことや、ある種の地方主義の傾向  の進展を説明できない。
※ また、分断体制やナショナリズムについても有効な説明がなされない。
  Cf.韓国における民主化の過程を「手続き民主主義」が先に進み、現在は「実質的な民  
   主主義」化の過程の中にあるという見解もある。
(2)循環的な革命理論(継続的な革命論)(孔星鎮.1997)
   基本的に伝統に対する抵抗、革命の連続として政治過程を捉える。
   解放後については「朝鮮王朝の支配的理念に対する反動」であり、「国民の『野性』  
   の表出としての革命の連続の中にある。⇒1980年代以降は7つのプロセスで説明。
(3)転換期論(森山茂稔.1998)
   韓国政治は解放以後の分断体制が、国際情勢の変化の中で堪えきれない状態になっ
   てきていて、転換期を迎えていること。
   ⇒新しい枠組みは提示されていないものの、①韓国の経済構造が世界相互依存の進
    展の中で変革を迫られていること、②北朝鮮が体制変革をおこない、南北関係に
    変化がうまれてきていることがポイント。
   ⇒分断体制の変化により、他のファクターも変わってきている。
   ⇒要するに現代韓国政治は、分断体制下とポスト分断体制に分かれるということ。

■ 韓国のナショナリズム
☆閉じたナショナリズムから国際化へ
  大国に蹂躙される国家というイメージ ⇔ 小中華論
  日本植民地時代に形成された「抵抗」と「近代化」 ⇒ 対日優越性
※ 難しいのは社会主義の扱い。
  解放以後は、アメリカに支援された権威主義体制 ← 動員されるナショナリズム
   朝鮮戦争の意味
   固定化された位置、アメリカのポジション、国際化?
  冷戦の崩壊 ⇒ 急速な国際化へ(特に経済面)
☆ 民主主義
  国民国家建設、これこそが反帝国主義、あるいは反権威主義体制としてナショナリズムと結びつく。
☆近代化
  近代化それじたいは富強であれ、国民国家建設であれ、ナショナリズムと矛盾するも 
  のではない。
  ⇒ただし、これがアメリカに対する依存の下に進行したことは問題である。 

■ 歴史過程
1945年8月15日 日本敗戦、朝鮮半島はアメリカとソ連の軍政下におかれる。
(1)第1共和国
 1948年5月10日 李承晩政権の誕生
 ⇒一君万民体制的/経済面での混乱、新興資本家層との特殊な紐帯/対日優位、反北朝
  鮮、対米依存
 1950年6月25日 韓国動乱/朝鮮戦争勃発
 ⇒李承晩政権による動員、反共符号の独占、権力強化/反共への動員、李政権への帰依
  /議会における与野党逆転、憲法改正による大統領再選(52年)
 ⇒アメリカからの支援 
   1953年10月 韓米相互防衛条約 ⇒ 米軍の駐留開始
   50年代を通じて約20億ドルの無償援助
 ⇒アメリカとの対立の顕在化
   アメリカの対東アジア政策の変化、日本のプレゼンス
 ⇒ハルシュタイン・ドクトリン 
   
 1958年選挙における与党自由党の敗北

【参考文献】
池明観.1995.『韓国 民主化への道』岩波書店
孔星鎮.1997.「韓国政治のダイナミズム」
      (孔星鎮・川勝平太編『韓国の政治』早稲田大学出版部)
森山茂稔.1998.『韓国現代政治』東京大学出版会

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