日本台湾学会「戦後日本における台湾関係文献目録」公開によせて

  • 2003年06月16日

 本日(2003年6月16日)、http://www.koryu.or.jp/center.htmに「戦後日本における台湾関係文献目録」をアップしました。目録の作成作業と入力作業に三年の月日を要しました。これは日本台湾学会の活動の一貫としておこなわれたもので、筆者は担当理事としてこれに取り組みました。
 研究の進展にはこうしたインフラ整備が不可欠です。しかし、こうしたインフラ整備は決して業績になるわけでもなく、経費もつきにくい面があり、そして満足いくものをつくることは難しいのですが、何はともあれたたき台をと思い作成、アップした次第です。この作業をおこないながらまず感じたことは、(1)研究と関連文献の線引きの難しさです。日本の台湾研究は、ある意味で「亡命台湾人研究者」から始まった面があります。彼等の「研究」は学問的でしたが、一方である「立場」を示すことがありました。これらは「研究」でありながら、時には「政治的」でさえありました。また、日本の台湾研究は、アカデミズムでオーソライズされていなかったこともあり、大学など研究機関に属さない民間の歴史家によって研究されてきたという側面があります。日本台湾学会もそうした研究家、「日曜研究者」の存在を完全に肯定してスタートしました。たとえば注記の有無や、学術論文としての体裁に拘泥すると、彼等の膨大な「研究史」を見過ごすことになってしまいます。そうした意味で、アカデミックな意味での「研究文献目録」を放棄し、「関係文献目録」としました。その結果、小林よしのりも、渡部真理奈の文章も掲載することになりました。第二は(2)学問的な傾向と推移についてです。文献データをいれたエクセルファイルを単純に年代別にソートすると、だいたいの流れが見えてきます。はっきりといえることは、日本の台湾研究は80年代前半以降、その業績を増し始め、90年代に至って飛躍的に増大したということが言えるのです。また、文学と人類学系統に圧倒的な厚みのある業績と、地道な目録作りがおこなわれてきたことを実感しました。目録を作成するということは、研究を伝えていく上で決定的な役割を果たします。
 以下は、HPに掲載した「説明」です。この目録がより多くの方に利用され、多くの批判をいただいて、より利用可能性の高いものになっていくことを願っています。

2003年6月16日

川島 真

[HP上の【説明】の転載]
 日本台湾学会http://wwwsoc.nii.ac.jp/jats/では、台湾研究のインフラづくりの一環として、「戦後日本における台湾研究の文献目録」の作成を計画、理事会での決定を経て作業をおこなってまいりました(第五回暫定理事会提議、第六回暫定理事会事業案承認、第一回新理事会確認)。この目録は、データベースとしてホームページ上で公開することを前提とし、活字媒体での公刊も検討対象としておりました。
 その後、作業じたいは諸般の事情から大幅に遅れましたが、会員諸氏の御協力、また中京大学社会科学研究所台湾総督府文書目録編纂員の宇井隆教授からの台湾関係文献データの提供をいただき、ようやく公開の目処をつけることができました。また既刊の目録類やNACSIS Webcatをはじめとするウェブ上の目録も参考にしました。作業はまだ未完成ですが、2003年6月に第3期理事会が発足するに際し、また内容的にもほぼ5000件入力できたので、作業を一旦打ちきり、暫定的にウェブ上で公開することといたしました。公開に際しては、財団法人交流協会日台交流センターの御協力を得て、同センターのサーバー上にデータベースを置かせていただくことができました。この場をかりて御礼申し上げます。
 また、この目録を作成するに当たり、「研究文献」の定義や採用範囲について、様々な問題があり、最終的には「研究」の文字をとり、「戦後日本における台湾関係文献」として公開することにいたしました。その結果、ガイド類から写真集に至るまで台湾に関する多くの文献を収録することができました。
 前述のように未完成の目録ですので問題点や不備が多々あるものと思われますが、まずは学会員はじめ、これから台湾のことを勉強しようという学生の方々、台湾に関心のある方々一般が台湾にアクセスする際の便となれば幸甚です。
 なお、本データベースの更新などにつきましては、いまのところ未定です。

2003年6月

日本台湾学会 第2期運営組織 戦後台湾関係研究文献目録事業部会委員
担当理事 川島真
委員 松金公正・やまだあつし・岡本真希子・浅野豊美・清水麗,林成蔚

【付記】本目録の作成にあたり、上記の中京大学社会科学研究所台湾総督府文書目録編纂員宇井隆教授から600件ほどのデータの提供を、また入力にあたってはプロムジット氏、吉田沙織氏、井上結香子氏(いずれも北大法学部院生・学生)の協力を得ました。茲に記して謝意を表します。

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