- 紹介
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本書は著者が2012年から16年まで、習近平政権下の中国、あるいは東アジア情勢、日中関係などについて記してきた短文を集めたものであり、研究書ではない。内容は、政治外交、国際関係、歴史認識問題が中心である。出版にあたり、かつて記したものを特に修正などはせずに基本的にそのまま掲載した。そのためにその時々の中国に対する捉え方がそのまま残っている。そこには、「誤解」や「分析のあまさ」を見ることができる。そうした意味では、自戒のための書でもあり、「現状分析」の問題点を考えるための書でもあるといえよう(自著を語るNo.84、ASNETメールマガジンNo.618、2016年12月9日より転載)。
- 書誌情報
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21世紀の「中華」
習近平中国と東アジア
著:川島真ISBN:9784120049064
出版社:中央公論新社
判型:4-6
ページ数:320ページ
定価:2000円(本体)
発行年月日:2016年11月 - 目次
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序 問題としての中国
Ⅰ.序奏──2012~2014
“チャイナ・リスク”の見積もり
安倍政権に求められる歴史的評価への想像力
「歴史的」日台漁業協定締結──その意義と課題
変容する中国と日中関係をどう捉えるか
歴史認識問題と価値観外交
「国有化」の意味は伝わっていたか
米中関係の新局面──「日米同盟強化」と「米中協力」に矛盾はないのか?
「中国─スイスFTA交渉の終結に関する覚え書き」の意味──TPP・TTIPの形成と中国
米中首脳会談 大国間の協調と牽制
朴大統領訪中と日米韓・米中韓関係
国宝狂奏曲──第二次アヘン戦争で奪われた「お宝」の中国帰還?
中国、「公式見解」の漂流
カイロ宣言の「亡霊」
国際広報戦略という難題
再び「尖閣国有化」を考える
中国、周辺外交で強硬路線
全人代が示す習・李政権の課題
商船三井問題に見る新たな歴史認識問題
時代の転換点に立つ日本の情報発信
「善隣」、深まるジレンマ
南シナ海にみる中国の「大国」
ネパールから見た中国の「周辺外交」
九月三日と「中国の歴史戦」
中国の「アジア新安全保障観」一読
岐路に立つ中韓関係──日米韓関係と中韓関係の断層面
香港・台湾における「民主と自由」への問い
対外広報の一環として「日本研究」の戦略的支援強化を
日中関係は「改善」するのかⅡ.展開──2015~2016
外交懸案、長期の視野で
歴史イヤーを迎えて──連続する記念行事への展望
AIIB狂奏曲
綱渡りの続く日中関係
ひまわり学生運動(太陽花学運)から一年
「国家の安全」という論理と「民主・自由」──中国の香港への目線
「和解」への可能性──”Forgive, but never forget”への道程
「歴史的」中台首脳会談から日本の対中・対台湾政策を再考する
南シナ海情勢と中国の対外政策──日本はどう関与すべきか
慰安婦問題をめぐる日韓の和解
二〇一六年の東アジアを読み解くために──中国が目指す地域秩序と内政問題
台湾の116選挙の読み方──戦後台湾と東アジアの将来の岐路に立つ蔡英文・新政権
馬英九総統の太平島上陸
AIIB発足
日中外相会談
安倍総理の先進国外交の成果と誤算
南シナ海の「秩序」をめぐる相克
日中関係は「双冷」なのか
南シナ海をめぐる常設仲裁裁判所判決と中国の対応
中国の語る世界秩序とアメリカⅢ.長期的論点
対日新思考から一〇年──変化と継承
戦後日中「和解」への道程とその課題──安倍談話の観点をふまえて
中国の海洋戦略と日米同盟習近平政権との対峙──まとめにかえて
あとがき
初出一覧
21世紀の「中華」
2017年2月15日