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第3回アジア政治論質問・回答

第3回アジア政治論質問・回答
川島 真

◆【授業の方法について】

(1) 使われる言葉が難しく抽象的。聞きなれない言葉が多いので説明をして欲しい。
                                              (3年)
(2) 黒板にはあまり書かなくていいが、固有名詞(人名・地名)はメモ程度に黒板に書い 
  て欲しい。(4年)

  ⇒ こういった御指摘はたいへん助かります。  
    (1)全ての用語について説明することには限界がありますが、気をつけます。
    (2) 全くその通りです。気をつけます。

【授業内容】

 双包制は結局「生産」か「経営」か?(3年)

 
 ⇒ 「双」ですので、この双方を含んだ制度ということです。

中国の1950年の土地改革は日本が終戦時におこなったものと同じか。(四年)

⇒ 農地改革についての知識が十分でないのですが、中国の場合「階級」分けをおこない、共産党主導で「富農」などとランクされた者をその対象としたというもので、政治闘争とセットとなっていたことが特徴です。また、社会的なインパクトで考えれば、日本の農村の場合、戦時中に農村の好況から実質的な小作人が激減していたということもあり、戦後の大地主からの土地の収奪・再分配が(奪われたほうにとっては大きかったものの)それほどの大きなインパクトを社会に与えなかったということが言えるでしょう。

集約農業とは?(3年)
  

 ⇒ 小学校の社会科で習っているはずですが… 一定の土地からより多くの収穫を得ようとする農業のやりかたで、一般に大量の施肥、機械化をともないます。中国の場合には家畜の利用も同時進行でした。  
  

天安門事件について、一方で新しい研究では「誰も死んでいない」という話があり、他方で「多くの知識人が死んだ」という話があったが??(3年)

 ⇒「天安門広場では」という部分が聞き取れなかったのかもしれません。天安門事件と言いながら、実は天安門では死者が出ていなかったのです。
   Andrew J. Nathan & Perry Link, The Tiananmen Papers,Abacus,2001.
 

【華夷秩序】

日本型華夷秩序の話があったが、自国が一番ということは東アジア・東南アジアに広汎に見られるだけではなくて、欧州やアメリカでもそのように考えるのが普通なのではないか。またEUはこの壁を超えたといえるのか、もしそうならそれはどうして実現したのか。                                             (3年)

⇒ 中国や東アジアで起きている現象を「特別」と思う「癖」が中国研究者にはあります。そうした意味で、このご指摘は貴重です。確かに「自分の国を一番」と思うことは世界に見られますし、それは「愛国心」となって現われるものと思います。ただ、愛国心を保ちながら、「平等」を原則とした国家間関係を考えた17世紀の欧州と、「自らが一番」ということを、「儒教理念」によって裏づけし、それを国際秩序まで適用したという意味で、「華夷秩序」は欧州につくられた秩序とは異なります。しかし、欧州でもヴィザンティン帝国のつくった秩序、あるいは東欧を包摂したオスマントルコのシステムは、華夷秩序と比較検討が可能な対象と思います。他方、EUについては遠藤先生に聞いていただきたいと思いますが、欧州各国が自国の優位性よりも、欧州全体の地盤沈下を恐れたということではないかと思います。欧州という枠でグローバルパワーになりつつ、その中で独自性を出して行くという戦略であろうと思います。 

【中国の共産主義政権の行方】

 
  世界資源が限定されている以上、中国の成長にも限界があるという見方がある。もし、
  限界まで中国が発展し、GDPが世界一になったとしても、一人当たりで考えれば享受
  できる豊かさには大きな限界があるのではないか。GDPよりも、1人当たりの生産性
  に着目すべきではないだろうか。(4年男子)

⇒それはその通りですね。ただ、中国自身はGDPとパーキャピタ(1人あたり)の双方を重視しています。何故なら、一人当たりのGDPが国際社会からの援助対象になるかどうかを決定づけるからです。「GDPが世界一位の発展途上国」が出現するのかもしれません。また、中国でGDPがあまり意味をもたないことに、個人、地域格差の問題があります。日本は、都道府県ごとのGDPについて、トップの東京と最下位の沖縄との間が2倍以内という「富の再分配」に成功している「国家社会主義型」国家ですが、中国は社会主義国でありながら、既に10倍以上に広がってしまっています。またGDPで「豊かさ」をはかることの限界については、最近出てきている数多くの「生活指標」が示しているとおりです。

※松浦先生に質問票を書いて質問したところ川島に聞くようにといわれてメイルをくれた学生の方、そのメイルを発見できないので、shin@juris.hokudai.ac.jpにもう1度送信いただけませんか。

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